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GSPOー幻想郷総合警邏機関。 それは博霊の巫女の鶴の一声によって作られた 幻想郷の小さな事件や異変を解決する警察みたいな組織である! 【登場人物】 ジャック GSPOゆっくり課のただ一人の隊員。人間、男性、20代。 性格の悪いゆっくりは嫌いだが素直なゆっくりは好き。 標準装備はGSPO隊員に支給される拳銃。早撃ちが得意。 会う度に嫌みを言うレフィが嫌い。 レフィ GSPO妖怪課の隊員。妖怪、女性、年齢不明。 何かにつけてジャックに絡んでくる。 ゆっくりを愛でる派。 ドスまりさ ジャックによってゆっくりから解放されGSPOに入ったが、 上層部に気に入られGSPOのマスコットになってしまった。(第一話参照) __________________________ 「GSPOは役所のすぐやる課じゃねえんだよッ!」 通報内容をまとめた書類をデスクにたたきつけながら 俺は一人だけのオフィスで叫ぶ。 なぜなら最近ゆっくり課にかかってくる通報の大半がどうでもいいことばかりだったからである。 ペットのゆっくりがいなくなった。 飼っていたゆっくりが高いところから降りられなくなった。 路地裏にゆっくりが巣を作った。 床下に野良ゆっくりが住み着いた。 ペットが野良がペットが野良がペットが野良がペットが野良がペットが野良が。 そういうのって普通自治体とかに頼むことだろう。 こんなことにいちいち出ていたら俺は過労で死んでしまう。 それに何だって税金でぬくぬく暮らしている自治体の連中の肩代わりをせねばならんのだ。 GSPOはボランティア団体じゃない。 「何叫んでるのよ、うるさいわよ。」 妖怪課のレフィが入ってくる。 どうせ事件が片づいて暇だから冷やかしにきたんだろう。 まったく昔から腹黒い奴だ。 どうして妖怪ってのは綺麗な顔立ちのくせに性格が伴っていない奴ばかりなのだろうか。 「妖怪さんはいいですねー。事件は少ないし人手もありますしねー。 一人で頑張るゆっくり課の人間様の気持ちなんて分からないんですねー。」 「何拗ねてんのよ。」 「拗ねたくもなるぜ。ここ最近いいことないんだから。 で、何の用だ?事件がないから冷やかしにきたんだろどうせ。」 「事件がないのは正解。だけど冷やかしじゃないわ。 これを見なさい。」 渡された書類に目を向ける。 そこには巨大な怪鳥について書かれていた。 「体長20メートル…!でかっ! 俺にリアルモンハンをしろというのか。ガンランスを要求する。」 「あ。ごめんそれ別の課のやつだった。あなたのはこれ。」 ああいう怪獣みたいなのを相手にしたら俺なんかアリと同じようなもんだ。 改めて渡された書類に目を通す。 貼られている写真に写るのはとある住宅街に現れたというレイパーありす。 「なんだってありすごときで通報を?」 「話によるとただのありすじゃないらしいわ。 で、優しいレフィさんは一人で大変そうなあなたに 協力してあげるってわけ。」 「優しい?ハッ、どうせ暇つぶしだろ腹黒め。」 「今ここで死ぬ?」 「殺れるのか?」 弾幕か何かを撃とうと手をこちらに向けるレフィに対し、 銃の早抜きで答える俺。 一触即発の雰囲気。俺はこいつが嫌いだ。 「ゆっくりやめてね!」 「グホッ!」 「きゃッ!」 突然ドスまりさの体当たりを喰らい吹っ飛ぶ俺たち。 こいつは以前俺が相棒にしようと助けた奴だ。 今は完全にGSPOのマスコット扱いだが。 というか人間大の幅しかない扉をどうやって通ったんだこいつ。 「けんかはゆっくりできないよ!なかよくゆっくりしてね!」 「「よけいなお世話だ(よ)!」」 仲裁にしてももうちょっと手段を選べよ。 しかもこんな時に限って声がハモるとは…。 いつまでもここにいるのもあれなので、ありす退治にいくことに。 目的の町へ歩く途中でさっきから思っていた疑問をぶつける。 「お前ゆっくり愛で派じゃなかったっけ?」 「すっきりしているゆっくりは別。見てるだけで寒気がするわ。特にありすなんて生理的に受け付けないわね。 レイパーとか絶滅すればいいのに。」 「「「んほおおおおおおおおおお!!!」」 空気を読んだか読まずか目の前ですっきりを繰り広げる 野良のまりさとれいむ。 「いやアアァ!!」 「「ゆべっ!?」」 レフィに蹴られナイスショットといわんばかりに飛んでいくゆっくり。 そのままため池に突っ込んでいった。 「ナイスショットーあー池ぽちゃか。イーグルは諦めな。」 「あちゃー、もうちょっとパワーを押さえれば…って何言わせるのよ!」 ノリツッコミしてくれるのは評価するんだがな。 町に着くと、代表っぽい人から話があった。 曰く、最近急に10匹ほどレイパーありすが現れ、飼いゆっくりをレイプするのだとか。 しかも行動が素早く人間の姿を確認するとすぐにどこかへ消えるんだとさ。 犠牲者もとい犠牲ゆは20匹。内11が死亡7が重傷だそうだ。 ミッションは町の中に隠れている10匹のありすの討伐。 住民は邪魔にならないように外にでるのを禁止させたようだ。 「私は西の方を探すからあなたは東をお願い。」 「ちょ、待てよおい!」 勝手にそう決めたレフィは町の西の方へ走っていった。 まったく、いつも勝手な奴だ。 「よっと。見ーつけたーっと!」 「ゆゆっ、どうしてここがわかったの!?」 排水口の蓋を開け覗きこむと案の定一匹ありすがいた。 こういうときはまず普段見ないような場所を探すもんだ。 それにしてもこのありす、野良かどうかわからないがゆっくりを一匹拉致してここで性欲処理に使っていたようだ。 目がうつろなまりさが転がっている上ありすはぺにぺに丸出しだ。 「いなかものにみつかるなんて!とかいははかれいにさるわよ!」 「させるかッ!」 素早く銃をホルスターから抜き、バキュンと一発発砲。 放たれた弾は狭い排水口の中で何回か跳弾した後、 偶然にもありすのぺにぺにに直撃し衝撃でぺにぺにがちぎれ飛んだ。 「ゆぎゃあああああ!ありずのべにべにがああああ!」 俺は手を伸ばし絶望しているありすを回収する。 ついでにちぎれ飛んだぺにぺにを回収…、 うおっ、ちぎれたというのにまだ動いてるぞこのぺにぺに。 非常に気持ち悪いのでありすの股間(?)の穴に逆向きに戻す。 戻すというかこれじゃあまるで挿入だな。 「ず、ずっぎりいいいい!!」 ありすが声を上げると頭部から茎が伸びてきた。 自家受精とは珍しい。 まあキモいので排水口の勢いよく流れる水に沈めた。 あと9匹か。このペースだと先が思いやられるぜ。 「こらぁ!待ちなさい!!」 「とかいははゆっくりせずにげるのよ!」 石垣の中に隠れていたありすを見つけたレフィだが、 ありすに気づかれ逃げられていた。 「ハァ、ハァ、止まらないと、う、撃つわよ!」 「おどしにはくっしないわ!」 走る速度はほぼ互角。 どんな環境で育ったのよあのありす。 このままじゃ埒があかないので進路妨害作戦をしよう。 私は手を街路樹に向け、弾幕を一発発射する。 弾幕を受け倒れる木。これで道を塞がれれば流石に動きを止めるわよね。 でも、ありすは私の想像とは違う行動に出た。 「たおれるまえにぬけるのよ!」 ちょっと待って、ここで速度を上げたら…。 「ゆびゃあああ!」 あーやっぱり。木の下敷きになっちゃった。 どうしてこうも先の予想ができないのかしら。 あーあ、せっかく生け捕りにしたらうちのゆっくりの餌にしようと思っていたのに。 仕方がない、別のを探すか。 「あと5匹か。」 レフィから一匹始末したという連絡を聞きながら 俺は両手に持つ黒ずんだありすだった手乗りジャングル3つをゴミ箱に放り捨てる。 こいつら俺が後ろで見ているのにも気づかず塀の上から 獲物に選んだゆっくりの品定めをしていたのだ。 そんなにすっきりしたいならお前等で勝手にやればいいじゃん。 ということでありすを適当にひっつかみ適度な振動で発情させ仲間同士で死ぬまですっきりさせた。 レイパーにはお似合いの死だ。 まあ弾丸の節約ができたってことが本音なんだが。 何となく残りが全部西地区にるような気がするので 俺はレフィに合流するため西に歩き始めた。 「ま、こんなモンかしらね。」 目の前で頭に穴をあけたありす4匹を見ながら言う。 あの後いくら探しても影すら見えなかったので、 もしかしたらと思って下水道に入ったら案の定ありすがいたので弾幕で一撃で片づけた。 「もしもし、ジャック。今4匹片づけたところ…あら?」 通信機に表示される圏外のマーク。 ちょっと、ここって電波繋がらないの? 面倒くさいけどいったん外に出ましょうかね。 と、ありすの死骸に背を向けたとたん、後ろに気配を感じた。 そこで私の意識は途絶えている。 開いている下水道の入り口があったからレフィがここから入ったな と思って飛び込むと全く予想していなかった状況に出くわした。 気絶しているのか床に力なく転がるレフィ。 そして滅茶苦茶洒落にならないほど気持ち悪い顔を浮かべた巨大なありす。 おいおいクイーンありすとか聞いてないぞ。 「ありすのちょうぜつてくでびんびんにしてあげるわあああ!!」 突進してくるクイーンありす。間一髪でかわす俺。 図体の癖になんて早さだ。 銃を抜き三発クイーンありすに向けて撃つ。 「んほおおお!きもちいいいいい!!!」 駄目だまるで効いてない。分厚い皮に阻まれ弾かれてる。 クイーンありすはマッサージか何かとでも思っているようだ。 再び突進を回避し、体勢を立て直す。 いち早く目を打ち抜いて視力を奪いたいところだが、 視力を失ったクイーンありすがレフィにぶつかるかもしれない。 気絶した状態であんな巨体にぶつかられてはいくらなんでも命を落としかねない。 嫌いな奴だが目の前で死なれるのは困る。 それにしてもこのクイーンありす、よく見ると発情しているのにぺにぺにが出ていない。 さっきのありすのびんびん発言を思い出す。 なるほど。受け状態になってるのか。 クイーンありすは自分の優秀(だと思っている)な遺伝子を残すために自分が身ごもることが多いという。 俺は床に落ちている通常ありすの死骸のぺにぺにの部分の皮を無理矢理引きはがし、 そこに銃口を突っ込み、すぐに抜く。 銃口には精子餡がべっとり詰まっている。 頼むからジャム(弾が詰まること)らないでくれよ。 祈りながら俺は突進してくるクイーンありすのまむまむめがけ力の限り銃を連射した。 「どぼじであがじゃんがでぎるのおおおおお!!!?」 クイーンありすの頭から延びる10数本の茎。 どうやら成功したようだ。 茎に養分を吸われ徐々に小さくなるクイーンありす。 精子餡がべっとり付いた弾丸を受けて受精するとは本気で思ってなかったが、 まだまだゆっくりの謎は多い。 元の半分の大きさになり余った皮がだれているクイーンありすだったものから髪を引きちぎりブラシ代わりに銃口に突っ込み残っている精子餡を掃除する。 その後用済みのクイーンありすを蹴り転がし下水に落とす。 これで10匹目だ。ミッション完了。ほっと胸をなで下ろす。 住民たちからお礼を言われ、未だ気絶しているレフィを抱え帰路につく。 「う…ん…?」 「おー。やっと起きたか。」 「え?ちょっとどこ触ってるのよ!」 「グホッ!!」 頭を思い切りぶん殴られ危うく倒れそうになるが気合いでなんとか持ち直す。 「このやろう、人がせっかく無様にぶっ倒れたお前を運んでやってるのになにしやがる!」 「親しいわけでもないのにお姫様抱っこは無いでしょう!」 「気絶したお前を運ぶにはこれしかなかったんだよ!っていうか起きたなら降りろ!」 「言われなくても降りるわよ!」 あーイライラする。 せっかく助けてやったのに恩知らずなやつめ。 だからこいつは嫌いなんだ。 本部に戻るとゆっくり課のオフィスから出られなくなり職員総出で 救助されているドスがいた。本当にどうやって入ったんだか。 この事件以降、たびたびレフィが事件に首を突っ込んでくるようになった。 一人での捜査に慣れている俺にとっては邪魔以外の何者でもないが、 上層部にこのことを言うと、 「人手が増えて結構じゃないかハハハ。 なんならレフィ君をゆっくり課にしてやってもよいのだぞ。」 とか言いやがる。 その後上層部の手によりレフィが完全にゆっくり課の隊員になった。 俺は絶望のあまり昏倒した。 俺の明日はどっちだ? 【後書き】 誰も求めていないようだが第二話。 キャラクターが個人的に気に入ってしまった。 GSPOはあまりきっちりとした組織じゃないので 課の移動なんてほとんど自由です。 虐待SSぽく無いような気がするが気にしない。 過去作品 「ゆっくり兵」 「ゆっくり焼き串」 「アサシンゆっくり2 お兄さん虐め編」 「ゆっくり護身術」 「ゆっくりになった男1」 「ゆっくりになった男2」 「ドスのいる村」 「食ゆ植物」 「ゆっくりミキサー車」 「GSPOゆっくり課」 このSSに感想を付ける
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近年ゆっくりを飼うのがブームになっている。だがゆっくりの生態は不確かであり、手に負えなくなって捨ててしまう無責任な 飼い主もまた星の数程存在するという。野良になったゆっくりは大抵都市部に住み込み、ゴミを食い散らかしたり 歌という名の雑音を響かせたりする。運が悪ければ腹の立ったおっさんに踏み潰され終わりである。 ゆっくりを飼う時は事前にゆっくりに関する知識を学んでおかねばならない。他のペットでも言えることだが・・・。 そこで、今回は種類別にゆっくりの特徴やペットで飼う際の注意を説明しよう。 れいむ種 最もポピュラーで数の多いゆっくりだ。母性が強くしっかり子供を育てるのが数の多さの理由である。 他の種類と比較しても能力は平均的であり、クセが無いので1番飼いやすいと言える。 ただし全てのゆっくりに言えることだがゲス化しているゆっくりは止めておこう。 飼ってもストレスが溜まるだけで、気付けば部屋が餡子だらけになってしまうからだ。 れいむ種の親は母性が強く、それの影響か赤れいむはかなり甘えん坊だ。 しっかりすりすりして、餌もなるべく手渡しで与えよう。 ただし、この時点でしっかり躾をしておかないと成長してから手に負えなくなるので注意。 だいたい捨てられるれいむは飼い主が甘やかしたせいで増長した個体である。 では赤れいむの躾の様子を少し見てみよう・・・。 「またうんうんする場所を間違えやがったな・・・。明らかに駄れいむだな・・・。」 「ゆ・・・!れいみゅはだれいみゅじゃにゃいよ!!ゆっくちあやまっちぇね!!」 飼い主に反抗した時はちゃんと罰を与えてその体に飼いゆっくりとしてのルールを刻み込んでやろう。 体罰に見えるかもしれないが、ゆっくりの躾はこれぐらいしないと効果が無い。 一流のブリーダーなら体罰無しでも良い子に育てられるらしいがここでは省いておく。 「謝るのはテメエだろぉ!!お仕置きだ・・・!!」 「ゆびゃっいぢゃいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 お仕置きはゆっくりの弱点である底部に打撃を与えるのが最も効果的だ。れいむ種だけでなく全ての種類に言える。 他にも針で軽く刺してやったりデコピンでふっ飛ばしたりするのも効果的だが、あまりやりすぎると・・・。 「こにゃいでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!おがーじゃぁんだじゅげでえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」 ここまで怯えてしまったら矯正は極めて困難だ。記憶力が無いゆっくりでもトラウマはしっかり残る。 虐待用では無く普通に飼いたいなら必要以上の暴力は控えるべきである。 「お母さんなんてここにはいねえよ・・・。飼い主にむかって来ないでとは何だ!!?ああんっ!!?」 おやおや、飼い主さん怒ってデコピンを連発し始めたようだ。まあ確かに五月蝿くしたら躾も必要だな。 「ゆ゛っ゛!!ゆ゛っ゛!!!」 「あ~あ痙攣してやがる。こいつは失敗だったな~。やっぱ安もんじゃダメだな・・・。」 ショップで買う時はなるべく高い値段の個体を買おう。安いのは初心者には絶対無理である。 「ゆ゛っ゛!!ゆ゛っ゛ゆ゛べぎ・・・っ!!」 「うるっせーよ。この駄作が。さ~て、新しいゆっくりを買いにいくかな・・・。ん?まりさがいないな・・・。」 ちょっと躾しただけで痙攣するような弱い個体は控えよう。丈夫に越したことは無い。 まりさ種 れいむ種に次いで数の多い種類。運動神経が優れており、やんちゃな性格の個体が多い。 元気に跳ね回る姿を見たいのならまりさ種を飼うのも悪くないが、まりさ種は他の種類と比べ ゲスが多いのが問題である。またワガママに育ちやすいのでれいむ種よりは育てにくい。 中級者向けと言えるゆっくりである。やはり赤まりさから徹底した躾が必要である。 「おい・・・!よくも皿を割りやがったな・・・!!」 「ゆっ?ななな・・・なんのこちょ?まりしゃわかりゃないんだじぇ!!」 「バレバレなんだよ糞チビが・・・!お仕置きだ・・・!!!」 あらあら、飼い主さん激怒して赤まりさの帽子を取り上げちゃったよ。赤まりさは号泣して怒り出した。 「まりしゃのぼうち!!ゆっきゅちしにゃいでかえすんだじぇっ!!かえじぇぇぇぇぇぇっ!!!」 ゆっくりは帽子や髪飾りを取られると『ゆっくりできない』と騒ぎまくります。にしても口の悪い赤まりさだな。 「誰に向ってしゃべってんだ糞チビぃ!!恩知らずは・・・こうだ!!!ビ~リビ~リ、不幸せ~♪」 「ゆぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!ばりちゃのぼうちぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」 ゆっくりにとって帽子や髪飾りは命と同じぐらい大切なものであり、目の前で破くとめちゃ絶叫する。 どうしても言うことを聞かないゲスにはやってもいいが、もう一生懐いてくれないので注意。 「ぼうちぃぃぃぃっ!!!よぎゅもぉぉぉぉぉぉ!!!!ゆっきゅちじねぇぇぇぇぇぇぇっゆぴ・・・っ!!」 「黙れザコの分際で・・・!やっぱ生まれついてのゲスは救いが無いな~・・・。」 飼う時は慎重に選ぼう・・・。 ありす種 『とかいは』という独特の信念を持っているゆっくりで、他のゆっくりとはやや性質が異なる。 まず下品で野蛮なことを嫌い、赤ありすの時点で『とかいは』なゆっくりになりたいと思っている。 またプライドが高く、自分の価値観を相手に押し付けてしまうのもありす種の特徴だ。 なので飼育は逆にその性質を利用すれば躾がしやすい。こういう行動が『とかいは』なんだと 教えればちゃんと覚えるし、逆にこういう行動は『いなかもの』だよと教えればそれをしなくなる。 こうして見ると中々育てやすそうだが、ありす種には致命的な欠点がある。それは・・・。 「んふをぉぉぉぉぉぉぉっ!!!ばでぃざぁぁぁぁぁっずっぎりじばじょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁっすっきりなんかしたくないんだぜぇぇぇぇぇっ!!!!」 そう、レイパー化するのである。つまり普段は『とかいは』などと上品ぶっているが、 その本性は欲望の塊なのである。個体差はあるが、振動を加えれば90%は5秒で発情すると言われている。 「いぐわよばでぃざぁぁぁぁぁぁぁんふぉぉぉぉぉぉぉぉっずっぎり・・・ぶげばぎゃっ!!!!」 「ったく・・・。昼間から盛り上がってんじゃねーよ。」 「ゆへぇ・・・。おにいさんありがとなんだぜ・・・びゅげへっ!!?」 「見せつけてんじゃねーよ、糞共が・・・!!気分悪くなってきた・・・。早く買って帰ろう・・・。」 野生で見つけたら速攻で叩き潰そう。また、容易に発情するありすは飼わない方がいい。 成体のありすの大半はこの様に救いが無いが、赤ありすの場合どうだろう? (ポトッ)「ゆっきゅちちていっちぇね!」 「ゆ~ん♪ちょかいはないもうちょだにぇ~!いっちょにゆっきゅちちようねぇ~♪」 「ありちゅたちみんにゃでちょかいはなこににゃろうね~♪」 「ゆゆ~?どうしちぇみゃみゃいにゃいの・・・?」 「ゆえ~ん!みゃみゃあいちゃいよ~!」 赤ありすは他の種類の赤ゆっくりと比べても輪をかけて甘えん坊であり、この時点ではレイパー化することも無い。 毎日真剣に向き合い、コミュニケーションを欠かさず行えば成体になってもレイパー化しない優秀なありすにすることも可能だ。 ただしありす種は少し育て方を間違えれば、本能に刻まれた様々な迷惑行為(発情・とかいはなコーディネイト)を行うので上級者向けと言える。 また、野生の赤ありすのほとんどは不幸な境遇で生まれてくる場合が多い。上のセリフもそんな赤ありすたちの呟きである。 「ん?ありすばっか・・・。ああ、レイパーの子か・・・クズだな・・・。」 先ほどの飼い主さんがたまたま見つけた様子。飼い主さんの言う通り、この赤ありすたちはレイパー化したありすの子である。 適当なゆっくりと無理やりすっきりしたレイパーありすは、赤ゆなど気にせず次の獲物を狙ってどこかへ行ってしまう。 そしてすっきりしてしまった相手は朽ち果てゆん生を終えてしまう。結果赤ゆだけ取り残されてしまうのだ。 今回はどうやらぱちゅりー種が相手だったらしく、大量の赤ありすの中に少しだけ赤ぱちゅりーが混ざっていた。 「ゆ?おにーしゃんだぁれ?ありちゅのみゃみゃしらにゃい?」 「ああ、知ってるとも。だから皆このケースの中に入りな。連れてってやるよ。」 「ゆ~♪おにーしゃんしんせちゅ~♪とってちょかいはだにぇ~!!」 「むきゅ~・・・。おにゃかしゅいたわ・・・。」 飼い主さんは買ったゆっくりを入れようと持ってきたケースに赤ありす20~30匹と赤ぱちゅりー数匹を放り込み足を進めたようだ。 飼い主さんの選択は正しい。こういう状況で生まれた赤ゆは種類問わずレイパーの資質が受け継がれてしまう。 ありす種でなくとも、世代を経てありす種と結ばれて赤ありすが生まれた時、片親が普通のありすであっても子供に レイパーとしての本能が先祖返りしてしまうのだ。見つけたら即刻駆除するか、加工場やペットショップへ持っていって引き取ってもらおう。 「ぐ・・・ぐりゅじぃ~・・・。」 「ちょかいはじゃにゃいよぉ~・・・!!」 「むぎゅぎゅぎゅ・・・!!」 「ありゃりゃ・・・。ぱちゅりー何匹か潰れてやんの。こいつらで遊ぶか・・・。」 ぱちゅりー種 ゆっくりの中でもトップクラスの知能を持つゆっくりで、記憶力も他のゆっくりを数段上回っている。 常に新しい知識を求め、本やチラシなど文字を読むことを至高の喜びと感じる変わった習性があり、 その賢さから群れのリーダーや指導役となっている個体も多い。唯一の弱点は体が恐ろしいまでに貧弱であることだ。 ちょっとしたショックで中身のクリームを吹き出し、非常に死にやすい。飼うなら細心の注意を払う必要がある。 また、ぱちゅりー種は知らないことも知ったかぶる習性があるので、気になる人は細かい知識も授けてあげよう。 おっ、そんなことを言ってる間にあの飼い主さん、人気の無い所まで行ってさっきのケースを開けたようだ。 まだ生きている赤ぱちゅりーを別の小さいケースに入れ、大きいケースから何匹か赤ありすを取り出し見せつけた。 「いいか~、ぱちゅりーたち。これから起こることを見ても絶対に吐くなよ。最後まで吐かなかったら親に会わせてやる。」 「むきゅ~ん・・・。わかっちゃわ・・・。」 手に持った赤ありすを赤ぱちゅりーに見せながら・・・潰した。グシャッと音が鳴り、手からクリームが垂れる。 思考停止状態で目を丸くする赤ぱちゅりー。そして自分たちの姉妹の無残な姿を見て固まる赤ありす・・・。 「ほ~ら。次いくぞ。ありす~、全員潰してあげるからね~♪」 「ゆ・・・ゆぴゃぁぁぁぁぁっ!!!どうちてこんにゃ・・・ゆぶげっ!!!」 「こんにゃのちょかいはじゃにゃっぴぎゃふっ!!!」 「みゃみゃだじゅげっぎゅべ・・・っ!!!」 「ほれほれ!ぐ~しゃぐ~しゃ、絶命~♪」 赤ありすが次々と潰される姿を見た赤ぱちゅりーはというと・・・。 「むぎゅっぶほっえれえれえれえれ・・・!!!」 「むぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅっ!!!!」 「ゆげぇぇぇぇぇぇっえれえれ・・・むぎゅっむぎゅっ!!!」 やはり耐えられず嘔吐していた。飼い主さんはすごくがっかりって感じで溜息をついてる。あっ赤ぱちゅりーを掴んだ。 「所詮レイパーの子だな・・・、約束も守れんとは。もしそうじゃなかったら飼ってやっても良かったんだけどな。そりゃっ!!」 「むぎゅ~!?おしょらをちょんでるわ・・・ぴぎっ!!!」 「ゆぶげっ!!!」 「むぎゅぎゅぎゅ・・・むぎゅぶっ!!!」 飼い主さん、赤ぱちゅりーをボールみたいに投げて木にぶつけたみたいだ。ペチャッと小粋な音が響いた・・・。 「ぱちゅりー飼おうと思ったけど飼育めんどそうだな・・・。別のにするかぁ~・・・。」 ぱちゅりー種は飼育にとても手間がかかるゆっくりである。色々教えたり健康管理を小まめに行うのが面倒な人は止めた方がいい。 ちぇん種 ゆっくりの中でも変った外見をしている個性溢れるゆっくり。猫に近い姿と習性が特徴で、猫耳と2本の尻尾がチャームポイント。 本能的に暖かい所を好み、『らんしゃま』、つまりゆっくりらんを溺愛する。それと『わかるよー』というのが口癖だ。 運動能力はまりさ種にやや劣るが、瞬発力はゆっくりの中でもトップクラスで、尻尾を使って高い木の上にも上ることができる。 また、基本的にゲスが少なく素直な個体が多いため、猫の代わりにペットとして飼う者も少なくない。 他のゆっくりと比べても比較的飼いやすいと言えるので、初心者はここから始めてみるのも悪くないかもしれない。 「いらっしゃいませ~!」 「さて、どいつを飼ってこうかな・・・。ちぇん種がいいか・・・。いや、みょん種も悪くないよな・・・。」 飼い主さん、どうやら赤ちぇんのケースを覗いたようだ。中では赤ちぇんたちが丸い餌入れを皆で囲んで仲良く食事していた・・・。 「わきゃりゅよー!む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇだよー!!」 「むぐむぐっごほっ!?わ・・・わきゃりゃにゃいよ・・・!」 「わきゃりゅよー、にょどをつまりゃせたんだねー。しゅ~りしゅ~りしゅればにゃおりゅよー。」 「しゅ~りしゅ~り・・・。ほんちょだ!わきゃりゅよー!」 「う~ん・・・。全員尻尾千切ってカラスの巣にぶん投げてあげたい・・・!おっと、まだ買って無いんだ、我慢我慢・・・。」 ずいぶんとユニークな愛情表現だこと。まあ、愛し方は人それぞれだから突っ込んじゃいけないね。 すると飼い主さん、今度はみょん種のケースを覗いたぞ。やっぱり成体ではなく赤みょんを見ている・・・。 みょん種 希少種とまではいかないが、野生ではあまり目撃されないそこそこ珍しいゆっくりだ。1番の特徴はその独特な言語だろう。 『ちーんぽ』という代表的な鳴き声から分かるように、みょん種の言語は全て卑猥な単語で構成されている。 人の言葉は分かるが、話せないのだ。ただし訓練すればちゃんと人間の言葉をしゃべれるようになるし、 野生でもぱちゅりーから教えてもらって普通の言葉をしゃべる個体もいるので、知能は水準以上と言える。 ただし赤みょんの時点では中身が少ないため、卑猥な言語以外はしゃべれない。その点は非常に特異な特徴と言えるだろう。 懐きやすく恩をしっかり返すタイプなので飼いゆっくりに向いているが、卑猥な言葉を当たり前のように叫ぶので 女性は控えた方がいいかもしれない。また、言葉を覚えるのは個体差があり、子供の時点で人間語をしゃべるようになる個体もいれば、 成体になってもちんぽちんぽ連発する個体もいる。中には人間語とみょん語が混ざっている個体も存在するらしい。 「ちーんぴょ!ちーんぴょ!」 「まりゃまりゃ!ちんぴょっちんぴょー!!」 「相変わらず変態クラスのゆっくりだな・・・。飼うのは止めとこうか・・・。」 それともう1つみょん種には大きな特徴がある。それは器用なことだ。口に棒などを加えて捕食種を撃退したり、 木の構造を上手く利用して頑丈な巣をつくったりできる。そのためかよく大工さんがみょん種を飼ってたりする。 「やっぱ、ちぇん種かな・・・。ってあれ!!?あのすいません!さっき置いてあった赤ちぇんは!!?」 「すいませーん・・・。先ほど常連の方がまとめて購入してしまいました~・・・。」 「な・・・なんてこった・・・。」 その頃・・・ 「いや~まとめてちぇん種が手に入って良かった良かった。早速ちぇんマー投げ用に飼育しないとな!!」 購入した彼の名は人呼んで『運動鬼異惨』・・・。かつてちぇんマー投げというスポーツを始めてからゆっくりを使用した スポーツ(ゆポーツ)にハマり、今では様々なゆポーツの大会で素晴らしい成績を残している偉人である。 彼は今回マイボールを買いに来ていたのだ。何でも手塩にかけて育てたゆっくりの方が良い成績が出せるとか・・・。 「くそ・・・っ!さては運動鬼異惨だな・・・!そろそろ大会が近いって言ってたっけ・・・ちくしょう・・・っ!!!」 「あの~、如何なさいますか・・・?」 「すいません・・・!この大安売りの赤れいむ全部ください・・・!!」 「あ・・・はい・・・。ありがとうございます・・・。」 れみりゃ種 言わずと知れた捕食種である。胴付きと胴無しの2種類に大別されるが、ここでは飼うのに適した胴無しについて説明する。 胴付きは正直ペットには向かない。一流のブリーダーすらイライラする程愚鈍でワガママで好き嫌いが多いからだ。 胴付きを育てるのは極めて難しいのだ。胴付きれみりゃは人間を都合のよい召使い程度にしか思わないのだから・・・。 さて、それに引き換え胴無しれみりゃは中々飼いやすい。胴付きれみりゃはすぐに『さくや』などという名前を口にするが、 胴無しれみりゃはそもそも言葉をしゃべらず『うー!』としか鳴かないので五月蝿くない。 動きも速く餌も自分で取ってきてくれるので餌代もほとんどかからないのがミソだ。ハンターがよく猟犬の代わりに 連れて歩いていたりしている。ただしあくまで捕食種は捕食種、あまり放置すると逃げてしまったり飼い主に襲いかかったりするので しっかり世話をしてやること。 「ほ~ら!れみりゃただいま~!お土産だぞ~!!」 「うー!うー!!」 あの飼い主さんも別の小屋でれみりゃを飼ってたようだ・・・。胴無しれみりゃはゆっくりが嫌いな人でも飼っている場合が多い。 やはり無駄口を叩かず、可愛らしく鳴いているだけだからに違いない。人間語は教えれば一応覚えるらしいが、 本来しゃべらない種類なので簡単な言葉しか覚えられない。覚えさせたければトライしてみよう。 「ショップで買っためちゃ安い赤れいむだ!美味そうだろ~!?」 「うー!!う~♪」 「れれれ・・・れみりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!?」 「きょわいよぉぉぉぉぉ!!!!こにゃいでぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」 「ゆぴゃぁぁぁぁぁぁっ!!!!やべでにぇ!!!!やべ・・・っ!!!!」 「う~♪あまあま~♪」 「もっちょゆっきゅち・・・。」 「れいみゅのいもうちょが・・・ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」 まさに赤れいむにとって地獄絵図、だが胴無しれみりゃにとっては食事の時間であり、飼い主さんにとっては至福の時間だ。 飼い主さんはストレスが溜まったとき、このように赤ゆをれみりゃに食わせて楽しむのだ。いい趣味してるな全く・・・。 さて・・・。これで基本的なゆっくりの説明は終わりだ。まだまだ希少種などの説明はしていないが、 希少種は一般の人にはあまり多く渡らないだろうから説明は不要だろう。それでは良いゆっくりライフを・・・ゆぎゃっ!! 「・・・さっきから追跡していたのはお前か・・・!!いちいち五月蝿くてイライラしてたんだよ・・・!!」 おやぁ、どうやらバレてたらしいのでそろそろ帰ろうかね・・・。ん?私の正体?それは秘密だ。・・・さらばっ!!! 「あっ!待ちやがれ・・・行っちまった・・・。何なんだアイツは・・・。まぁいっか。続きを見ないとな・・・。」 どうやらこの飼い主は虐待派だったようである。それもそのはず、彼は人々から『赤虐鬼異惨』と恐れられる男だったのだ。 赤ゆを中心に虐待するからそう呼ばれるようになったとか・・・。 例が虐待鬼異惨だった時点でこの飼育の説明は破綻していたのだ・・・。ゆっくりを飼おうと思っている方は決して真似をしないように・・・。 過去作 2517 ちぇんマー投げ 2526 ゆンペルダウン 2550 痙攣鬼異惨の日曜日 2560 分からないだらけのゆん生 2570 馬鹿とゆっくりは使いよう このSSに感想をつける
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ゆっくり昔話オープニング曲(1番) まりさ~良い子だ内臓(わた)だしな~♪ 今も昔もかわりなく~♪ 虐待お兄さん(おに)の情けの子守唄(レクイエム)~♪ 遠い~永遠亭(やしき)の~も~の~がた~~りぃ~いぃぃぃ♪ 雪ゆっくり むかしむかし、あるところに普通のお兄さんが住んでいました。 ある冬の日お兄さんは雪山で遭難しましたがゆっくりちるのに助けてもらい命拾いしました。 別れ際にゆっくりちるのはお兄さんに言いました。 「自分に遭ったことを誰かに話したら殺す」と。 翌年の冬。お兄さんが遭難した時と同じくらい寒い日でした。 お兄さんが家で暖をとっているとドンドンと戸を叩く音が聞こえてきました。 一体誰だろう?と思い戸を開けるとそこにはあの時のゆっくりちるのが立っていました。 「ちるのはたびのとちゅうぐうぜんたどりついたんだよ。みちにまよったからひとばんとめてね!」 実はちるのはお兄さんが自分のことを他人に喋ってないか監視するために旅人の振りをして近づいたのでした。 「君あの時のちるの?よくわからないけど泊まっていく?」 ちるのの変装は一発でばれてしまいましたが、お兄さんは昔の恩もありしばらくちるのを泊めることにしました。 しかし所詮ゆっくりと人間、まったく恋仲にはなりませんでした。 やがてお兄さんにも人間の恋人ができ、ちるのは段々邪魔者扱いされるようになりました。 夏の暑い日。とうとう痺れを切らしたお兄さんはちるのを家の外に投げ捨て中から鍵をかけました。 「ゆっくりいれてね!ちるのをすてないでね!」 ちるのが泣き叫びますが戸は開きません。 暑さに弱いちるのはやがて日射病にかかりそのまま死んでしまいました。 めでたしめでたし。 ちぇんとぱちゅりー むかしむかし、あるところにとても素早いゆっくりちぇんととても遅いゆっくりぽちゅりーがいました。 ある時ちぇんはぱちゅりーに言います。 「ぱちゅりーはどんそくなんだねーわかるよー」 怒ったぱちゅりーはちぇんに決闘を申し込みます。隣の山頂まで競争し、自分が勝ったら土下座して謝れ、と。 翌日。二匹は競争しますがぱちゅりーは素早いちぇんにどんどん引き離されていきます。 「どくそうたいせいなんだねーわかるよー」 半分ほど道を進んだところでちぇんは楽勝だと思ったのか居眠りしてしまいます。 「ぐおーすぴーふぐしゅー…い、いぎゃあああ!」 突然の激痛に目を覚ますちぇん、いつのまにか野生のれみりゃに頭からかじられていました。 「もぐもぐ…あまあまおいしいどー」 「い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛!ゆ゛っ゛ぐり゛や゛め゛でね゛え゛え゛え゛え゛!」 普段だったら素早く逃げるのですがれみゃに押さえつけられているので逃げることができません。 哀れちぇんはれみゃに食べられて死んでしまいました。 「ゼハッ!ゼハッ!も、もうすこしでさんちょうだよ…」 ぱちゅりーはゆっくりとした足取りながらも着実に進み、ついに山頂までたどり着きました。 「か、かったよ。ちぇんかった。これであんしんしてみらいにかえれるね…ぐほっ!おげええええ!」 普段運動をしていないぱちゅりーに山登りは過酷過ぎました。 山頂について安心したのか今までの疲れがどっとでてしまい、 咳き込んだ拍子に大量の餡子を吐いてしまい死んでしまいました。 めでたしめでたし。 醜いれいむの子 むかしむかし、あるところにゆっくりれいむの一家が住んでいました。 しかし両親がれいむ種にもかかわらず一匹だけ金髪のれいむが混じってました。 「そのかみのけげひんないろだね、このいんばいが!」 「りぼんのないきもちわるいれいむとなんかあそんであげないよ!」 「うわーん、にゃんでみんにゃいじめるのー」 金髪のれいむはみんなと姿が違ったため虐められていました。 ある日、偶然通りがかった旅ゆっくりぱちゅりーから自分はれいむ種ではなくありす種であることを教えてもらいます。 実は金髪のれいむ(ありす)は昔今の両親から拾われた子だったのです! ありすは本当の親を探すため旅に出ました。本来なら単行本10冊分くらいの長編なのですが短編集なので省略します。 つらい旅の末ありすはついに本当の親とめぐり逢います。本当の親はまりさ種のゆっくりでした。 「おきゃーしゃーん、あいちゃかったよー!ぐべっ!」 嬉しさのあまり母まりさに飛びつくありす。ですがあっさり吹き飛ばされてしまいます。 「ありすのこはしね!おまえなんかれいむのこじゃないぜ!」 ありがちな話ですが、ありすはまりさがレイパーありすにレイプされて生まれた子でした。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 何度も何度も母親に踏みつけられ、哀れありすは死んでしまいました。 めでたしめでたし。 ゆっくり太郎(山編) むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。 お婆さんが洗濯をしていると山の上からどんぶらこっこ、どんぶらこっことドスまりさの死骸が流れてきました。 まんじゅうじゃけえ食えるじゃろ、と思ったお婆さんはドスまりさの死骸を家に持ち帰りました。 お爺さんがドスまりさの死骸を包丁で切り開くとなかから子ゆっくりまりさが出てきました。 「ゆっ!おじいさんはかわいいまりさにたべものをよういするんだぜ!」 子供がいないお爺さん達は子まりさにゆっくり太郎という名をつけ飼うことにしました。 それからのまりさはペットとして怠惰な暮らしをしていましたが、ある日仲良しの野良れいむが死んでいるのを見かけます。 近くにいる野良ゆっくり達の話を聞くと3丁目のお兄さんに虐殺されたそうです。まりさの怒りが天を突きました。 まりさがお兄さん退治に行くというとお婆さんはピクニックかえ?と言いきび団子を持たせてくれました。さあ冒険のはじまりです! お兄さんのところへ向かっている途中。一匹の犬に出会いました。犬はまりさの持つ団子を物欲しそうな目で見つめています。 「いぬさん!だんごをたべさせてやるからおれのけらいになるんだぜ!いっしょうばしゃうまのようにはたらくんだぜ!」 犬はあっという間にまりさの団子をたいらげ、まだ足りないのかまりさの体をかじり始めました。 「いでででで!やめるんだぜ!おれはたべものじゃないんだぜ!」 その時、どこからともなく猿がやって来たかと思うと爪でまりさの目をえぐり食べてしまいました。 「う゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛ばり゛ざの゛づぶら゛な゛お゛め゛め゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 おこぼれに預かろうと空からカラスが飛んできてまりさの体をついばみます。 「や゛べでね゛!や゛べでね゛!ばり゛ざばお゛い゛じぐな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 哀れまりさは3匹に食べられ死んでしまいました。 まりさを食べて満足した3匹は家に帰ります。 「お、お帰り。今日は3匹そろってお帰りかい。」 待っていたのは虐殺お兄さん。実は3匹はお兄さんのペットだったのです。 今日も村は平和でした。 めでたしめでたし。 ゆっくり太郎(海編) むかしむかし、ある海岸近くでゆっくりにとりがほかのゆっくり達に虐められていました。 「みかけないゆっくりね。とかいはじゃなくてなんだかゆっくりできないわ」 「きもちわるいゆっくりはしぬんだぜ!」 「ゆっくりやめてね!ゆっくりやめてね!」 その時偶然ゆっくりれみゃが通りがかりました。ちぇんとぱちゅりーに出てきたれみりゃです。 「う~!た~べちゃうぞ~!」 「まりさはまずいからありすを…ぐぎゃあああ!」 「とかいはなわたしをたべようだなん…ひぎぃ!」 お腹が空いていたれみりゃはにとりを虐めていたゆっくり達を全て食べてしまいました。 自分のことを助けてもらったと勘違いしたにとりはれみりゃを竜宮城へと招待します。 「う~♪れみりゃはこ~まかんへいくど~♪」 れみりゃはにとりに乗って海へと潜ります。やがて竜宮城の前まで辿り着きました。 「もうすこしでりゅうぐうじょうだよ…ってうぎゃああああ!」 水に弱いれみりゃは溶けて死んでいました。腕だけが残ってにとりの体を掴んでいます。 「ゆっくりはなしてね!ゆっくりはなしてね!」 死体に掴まれているという恐怖からにとりはでたらめに暴れまわります。 やがて人食いザメの住む海域に紛れ込んでしまい、サメに食べられ死んでしまいました。 めでたしめでたし。 ゆっくりの恩返し むかしむかし、あるところに愛でお兄さんが住んでいました。 お兄さんが山を歩いていると罠にかかっているゆっくりみょんを見つけました。 「ちーんぽーちーんぽー…」 巨大な虎バサミに挟まれみょんは瀕死です。可愛そうに思ったお兄さんはみょんを罠から出してあげようとしました。 「ちーんぽ…みょぉぉぉぉぉ!」 みょんの体には罠が食い込み皮がズタズタに破れていましたが、皮肉にも罠に挟まれていたことにより餡子の流失が防がれていたのです。 罠が外れ体を圧迫するものがなくなったみょんは傷口から大量の餡子を噴出し死んでしまいました。 死んでしまったみょんは恩返しをすることができませんでした。 めでたしめでたし。 めいりん姫 むかしむかし、あるところにめいりん姫というたいそう綺麗なゆっくりがいました。 「…」 ん?どうしたんですかめいりんさん?浮かない顔して。 「…!」 どうせ自分も殺されるんだろうって?じゃあめいりんさんは死なずにハッピーエンドにしてあげますよ。 「~♪」 ある日めいりん姫は山で遭難している王子様を発見します。王子様は気絶していましたがとてもかっこいい人間でした。 王子に一目惚れしためいりん姫は気絶した王子様をふもとの山まで届けてあげました。 それからは王子様のことを思う日々。いてもたってもいられなくなっためいりん姫は魔女に相談しました。 「へっへっへ、おまえのこえをよこすんだぜ。そうすればかわりにどうたいをあげるんだぜ。」 めいりん姫は魔女と取引し胴体を手に入れました。これで王子様と結ばれることができる! めいりん姫はすぐに王子様のところに向かいました。 しかし運悪く途中で虐待お兄さんに捕まってしまいます。お兄さんはこう言いました。 「うわー胴体つきのゆっくりめいりんなんて珍しいな。これで一儲けできそうだ。」 お兄さんはめいりん姫を使って見世物小屋を開きました。お兄さんは檻の外からめいりん姫を虐めます。 夜にも珍しい胴体つきめいりんと虐待ショーにみんな大喜び! 虐待お兄さんは大儲けでとってもハッピーになりました。 めでたしめでたし。 おまけ 醜いれいむの子にでてきた旅ぱちゅりーとめいりん姫にでてきた魔女まりさがここにいました。 「ちょっとごつごうしゅぎすぎるわよ」 「ここはなにもなくてつまらないんだぜ」 二匹は今までの話の中で運良く不幸にならなかったゆっくり達です。しかしこれから人間に虐待されてしまいます。 「うそいわないでね、どこにもにんげんなんていないよ」 「まりさをいじめられるものならいじめてみろだぜー」 実は語り部は虐待お兄さんだったのです!お兄さんは素早く2匹を捕獲してしまいました。 「ゆべ!もうはなして!おうちかえるー!」 「ゆっくりやめてね!ゆっくりやめてね!」 「ヒャァ!虐待ダアアァ!」 過去作 ゆっくり転生(fuku3037.txt~fuku3039.txt) ゆっくりくえすと(fuku3068.txt) ともだち(修正)(fuku3103.txt) ANCO MAX(fuku3178.txt~fuku3179.txt) 利口なゆっくりと賢いゆっくり(fuku3386.txt) このSSに感想を付ける
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*警告* 虐待は行間のみです。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 ゆっくりの飼い主が知っておくべきいくつかの事 1.ゆっくりは饅頭です 強い刺激をあたえると、簡単に潰れてしまいます。たとえば、積んである本が崩れたり、 観葉植物が倒れたり、折り畳み椅子の下敷きになっても潰れてしまいます。ゆっくりの強 度を把握していなければ、あなたのお部屋はゆっくりの楽しいアトラクションになること でしょう。節度を持って、死ぬまで可愛がりましょう。 2.ゆっくりも生きています ゆっくりは雑食で、排泄もしないので大変飼いやすいナマモノです。すぐに空腹を訴え ますが、毎回に餌を与える必要はありません。希望の大きさまで成長させたい場合と、に んっしんっ前後以外は一日一回、ゆっくりフードか生ゴミ、残飯の類を与えるだけで充分 です。ただ、饅頭ですので高温、乾燥、湿気、水分には弱いので気をつけて下さい。日中 あまりに高温になる部屋に放置して干からびてしまった場合、器に移してジュースに浸せ ば簡単にもとにもどります。逆にカビが生えてしまったら、残念ながら処分する他はあり ません。楽しいゆっくり生活には環境に気を配らなくてはなりません。 3.ゆっくりと環境 他のゆっくりや他のペット、あるいは小さいお子さまがいる場合は、より慎重に飼わな くてはなりません。ゆっくりは饅頭です。可愛いペットが餡子を食べてしまったり、お子 さまが饅頭を喉に詰めたり、ブチ撒けてしまう危険と隣り合わせです。水槽を割ったり、 中に落ちて、アクアリウムが壊滅してしまうかもしれません。それらの場合、ゆっくりを より安全な環境で飼うことを検討する必要があります。ゆっくりのことなら信頼のお兄さ ん印、鬼意製薬の透明な箱で飼ってみてはいかがでしょう。 4.ゆっくりは口をききます 出身スレによっては、あなたが出かけている間に「ゆ~♪ ゆゆ~♪」などと鳴いて、 近隣への騒音被害が起こる場合があります。また、虐待スレ出身の場合、大変汚い言葉を 吐いてトラブルの原因になる場合も多くみられます。ご近所もゆっくりできるよう、室内 飼いは部屋に防音処理をするか、最低でも防音ケースに入れるべきです。鬼意製薬の透明 な箱-完全防音-は安価で頑丈で、おすすめです。室内飼いのみであれば自分で鳴いたり 笑ったりできなくする処理をしても楽しいのですが、万一外に連れていった場合、縫った り塗ったりしたゆっくりを愛でお兄さんやゆっくリーンピースに見られ、トラブルの原因 になるかもしれません。飼いゆっくりを外に連れていく場合、かかりつけのゆっくりにっ くでクラシックゆっくり言語以外を発音できなくなるよう、適切な処置をしてもらうのが 一番よいかもしれません。外に連れ出した時に、一般の方をゆっくりの鳴き声で不快にさ せては飼い主失格です。 5.ゆっくりも繁殖します 喋って跳ねる饅頭ですが、ゆっくりも繁殖します。産まれたこどもまできちんと責任を 持つことは、飼い主の最低限の勤めです。産まれたての赤ゆっくりは大変美味ではありま すが、繁殖を希望しない場合、かかりつけのゆっくりにっくで適切な避妊、去勢手術を行 いましょう。特に多頭飼いの場合は必ず手術を受けさせるべきでしょう。 6.放し飼いは避けましょう 現代社会はゆっくりしづらい環境です。交通量の多い道で事故の原因になったり、あな たのゆっくりが他の人の家や店舗を荒らしたり、ゴミ捨て場を荒らすかもしれません。荒 らしたゴミとゆっくりの両方が、カラスやハト、野良犬、野良猫に餌を与えることにもな ります。また、野良ゆっくりと繁殖したり、逆に病気をもらってくる事も考えられます。 外に出して近隣に迷惑を掛けるような飼い方は極力避けるべきです。一緒に連れていく場 合も、前述の通り、ゆっくりの声によるトラブルには極力注意して下さい。 7.ゆっくりを捨てないで 人間の食べ物の味を覚えたゆっくりが飼い主に捨てられて都市部で野生化し、ゴミを 漁ったり、人家、店舗を荒らす被害が増えています。ゆっくりは飼っても食べてもゆっく りさせなくても楽しいナマモノですが、ペットを捨てることは許されることではありませ ん。ゆっくりを捨てるのはSSや漫画の中だけにしましょう。 8.ルールを守って楽しく虐待 他の人の飼いゆっくりがどれほど不快でも、勝手に虐待することは歓迎されることでは ありません。飼いゆっくりを勝手に虐待すると民事的には器物破損にあたります。ゆっく り被害(ゆ害)は極力、当事者間の話し合いで解決しましょう。また、個人的な虐待でも、 無関係の人の目に触れるような公然プレイはなるべく避けるべきでしょう。 9.最後に ゆっくりは正しく飼えば、ゆっくりと楽しむことができるナマモノです。正しい知識を もって、楽しいゆっくりライフを。 『完全ゆっくりマニュアル』 鬼意製薬出版 刊 2008,08/30 第一版序文 このSSに感想を付ける
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※俺設定注意 「ゆゆ?」 薄暗いれいむの世界に突如光が差す。 急速に明るくなっていく世界。それが意識を深い眠りから引き上げていく。 れいむは目を覚ました。 「ゆっくりしちぇいってね!!!」 朝一番のご挨拶。 れいむはゆっくりだ。ゆっくりはこの挨拶に始まり、この挨拶で終わる。 元気の良いれいむの声に、周囲のゆっくり達も目が覚めていく。 「ゆぅ~?」 「ゆゆ!」 「ゆ!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」 れいむが目覚ましになったのだろうか。 次々と挨拶の声を上げるゆっくり達。 その姿は小さい。ここにいるのは、子ゆっくりや赤ゆっくりばかりだった。 「ゆゆ~ん!ゆっくりしていっちぇね!!!」 みんなに対して、もう一度ご挨拶。 れいむは朝をこうやって迎えている。 気付けばお兄さんが立っていた。れいむの世界、その向こう側に。 ここはゆっくりを取り扱うペットショップ。 突如この世界に現れた不思議饅頭は、害獣として、ゴミとして、そして時にはペットとして人間と接するに至った。 れいむの世界は広いようで狭い。 ここはれいむ以外に、大体10匹前後の子ゆっくり達が暮らしている。 その世界を取り囲んでいるのは分厚く大きいガラス。れいむ達の力ではびくともしないような頑丈な壁だ。 つまり、れいむの世界とは大きめの水槽に他ならなかった。 ここがれいむの全て。れいむが知る、世界の全てだ。 外の世界はもっと広いが、れいむは出たいと感じなかった。仮にそう思っても、それが叶う事は無い。 れいむがここから出るには、買われていくしか方法が無いからだ。 お兄さんに気付いてもらえるように精一杯背伸びをする。 別にそんなことをしなくても彼は気付いていたが、れいむはそうしたかったのだ。 お兄さんの視線が自分に向いていることを確認し、息を吸い込む。 「おにいさん!!ゆっくりしちぇいってね!!!」 れいむ渾身のご挨拶。 それをお兄さんは無視した。いちいち一匹のゆっくりに構っている暇は無い。 さっと背を向け、どこかへと歩いていくお兄さん。彼にはまだ仕事があるのだ。 勿論、れいむはそんなことを知る由もないが。 ああ、今日もお返事してくれなかったな。 でもいいや。明日がある。明日が駄目だったら、あさってがある。あさってが駄目なら―――。 ゆっくり特有のポジティブシンキングで物事を肯定的に捉えるれいむ。 その顔に翳りは無い。本当にそう考えているのだ。 「れいむー!ゆっくりしようよ-!」 後ろからの声に振り返る。 れいむはこれからみんなとゆっくりするのだ。 たむたむと音を立てて、れいむはみんなの元へ向かっていった。 とあるペットショップの一光景 それから暫くして。 れいむ達の前にお兄さんはまたやって来た。 その理由はただひとつ。餌を与えに来たのだ。 れいむ達の世界に大皿が置かれた。 成体ゆっくり程もある大きなお皿の上に、ドライフードが小山を作っている。 子ゆっくり達は突如現れたご飯に、目を輝かせながら飛びついていく。 「ゆっ!ゆっくりたべるよ!ぱくっ!」 「むーしゃ!むーしゃ!」 「ししししあわせぇ~!」 涙を流しながら餌を食べていく子ゆっくり達。 それ程までにこのドライフードは美味しいのだろうか?いいや、違う。 ただ単にそれ以外のものを食べたことが無いからだ。比べるものが無ければ基準も発生しない。 れいむもまた涙を流しながらご飯を平らげていた。 お兄さんは優しいから、れいむ達にこんな美味しいご飯をくれたんだよね。 れいむは「お兄さんが自分達にご飯を与えてくれていた」と知っていた。だから毎日食べた後は感謝する。 「おにいさん!おいしいごはんありがとう!ゆっきゅりしていってね!!!」 もうお兄さんはいなかった。 餌を与えたらすぐに別の仕事。彼は忙しかった。 いちいち子ゆっくりたちの食べる姿なんか見ていられない。 「ゆゆ~・・・・・・」 またお兄さんに感謝し損ねた。お兄さんはれいむ達をゆっくりさせてくれる。れいむもいつかお兄さんをゆっくりさせたい。 そう(あるかどうかも分からない)胸に誓うれいむ。ちなみにこれは毎日の行事といっても良い。 お兄さんが餌を置き、れいむ達が夢中の間に去り、そしてれいむが勝手に感謝する・・・。日々繰り返し行われてきた。 れいむはそれを覚えていない。毎回忘れ、毎回誓うのだ。 れいむは悲しげにガラスの向こう側を見る。 少しぼやけた光景の中に、お兄さんの姿を見つけた。何かの仕事に従事している。 れいむにとって、声も視線も何も届かない、その距離は長すぎるものだった。 れいむ達はそれから何をするともなしに集まって、皆で遊んだりゆっくりしたりした。 ご飯の時間以外は本当に自分達以外に誰もいない。そうなってくると暇でしょうがなかった。だかられいむ達は遊ぶのだ。 追いかけっこをしたり、お歌を歌ったり、お昼寝をしたり。 皆仲良く、元気一杯。 ここには誰かをいじめたり、ご飯をひとり占めしようとするゆっくりはいなかった。 仮にいても、そういうゆっくり出来ない子はお兄さんがどこかに連れて行ってくれた。 だから皆は仲が良い。先程のご飯だって皆で仲良く分け合えたのだ。 追いかけっこに興じて少し疲れてしまったれいむは、みんなの輪を抜けて休憩を取る。 こんなとき、れいむはいつも同じ行動を取っていた。 くったりと地面に座り込みながらガラスの向こう側を見上げる。 れいむの視線のその先、所謂ショーケースのようなものの中には、ゆっくり達が鎮座していた。 綺麗な髪に、すべすべのお肌。もっちりとして、やわらかそうなほっぺ。 一目でそのゆっくり達がとてもゆっくりしていると分かる。 そして、そのお帽子や髪には綺麗な金色のバッジ。 れいむが見つめているものは、ゴールドバッジ取得済みゆっくり達であった。 最高品質のゆっくり。厳しい試験を掻い潜り、人間達の常識、ルールを理解して生活していけるゆっくり達だ。 見るからにその姿はゆっくりしている。発せられるオーラといえる物から違っていた。 いつかこんなゆっくりになりたい、とれいむは思う。 「ゆゆぅ!みんな、ゆっくちちていってね!」 思わずこんな声が出てきてしまった。 釣られて水槽内の子ゆっくりたちも返事を返す。 その声に気付いたのか、れいむ達を見つめてくる金バッジゆっくり達。彼らは皆笑顔だった。 「ゆっくりしていってね」 「ゆ!ゆゆっ!!ゆっくり、ゆっきゅりしていってね!」 返事をしてもらえた興奮に、思わず何度も声を出してしまうれいむ。 そんなれいむの様子に、思わず一匹の金バッジありすが苦笑した。 「おちびちゃん、そんなにさけばなくてもありすたちにはきこえてるわよ?」 「ゆ!ご、ごめんなさい・・・・・・」 「べつにいいんだねー、げんきなのはとてもよいことなんだねー、わかるよー」 「みょんもこれくらいがちょうどいいとおもうみょん!」 しょげかえるれいむに、続いて金バッジちぇんと金バッジみょんが声をかけた。 「げんきなのはゆっくりしてるしょうこだねー」 「こどもはかぜのこみょん!」 「れいむ、ゆっくりしてる・・・?」 「え、ええ。ありすはゆっくりしてるとおもうわよ?」 少々ちぇん達に押され気味に、ありすは頷く。最も、ありす自信も笑顔だったが。 ありすの言葉を受け、元気を取り戻すれいむ。 「ゆっ!ゆっくちしていってね!!!」 「ええ、ゆっくりしていってね、れいむ」 「ゆっくりしていってほしいんだねー、わかるよー」 「ゆっくりしていってみょん!!!」 挨拶を交し合う4匹。 これでもうこの4匹はお友達だ。 「ありすたちはすごくゆっくりしてるね!!」 「ゆふふ、ありがとう。うれしいわ」 「れいむもゆっくりしてるんだねー」 「みょん!!!」 そんな調子で、れいむと3匹は会話を続けた。 基本的にはれいむが質問をして、ありすたちが答える。 内容はありすたちについて。そして、外の世界の話をちょっとだけ。 「ありすたちのかざりについてるきれいなもの、なぁに?」 「これはばっじよ。にんげんさんとなかよしのゆっくりがてにいれられるの」 「きびしいしけんにごうかくして、それでやっとてにいれられるみょん。けわしいしゅぎょうのみちみょん」 「しゅぎょう?」 「おにいさんといっしょにいろんなことをべんきょうしたんだねー、わかるよー」 「でもこうやってとかいはになれたのもおにいさんのおかげよ」 「おにいさん?」 「みょんのししょうみょん!!とってもつよいんだちーんぽ!!!」 「みょん、じがでてるわよ」 「こうふんしたんだねー、わかるよー」 「・・・・・・めんぼくないみょん」 「おにいさんはみょんたちをゆっくりしたゆっくりにして、ここにおくってきたみょん」 「ありすたちはここでかいぬしさんにもらわれていくのよ」 「いっぱいかいぬしさんをゆっくりさせるんだねー」 「かいぬし?」 「ありすたちがゆっくりしていってもらうにんげんさんのことよ」 「いっしょにおそとへおさんぽしたりするんだよー」 「けいこにつきあってもらうみょん!」 「おそと?ありすたちはおそとのことをしってるの?」 「そうだよー。おそとはゆっくりできるよー」 「かいぬしさんといっしょだともっとゆっくりだきるみょん!」 「だからありすたちはここでもらわれるのをまっているのよ、おちびちゃん」 「ゆー・・・!れいむもやさしいかいぬしさんとゆっくりしたいよ!」 ありす達のとてもゆっくりした話を聞いて、れいむは初めて外に出たいと思った。 れいむも飼い主さんをゆっくりさせてあげたい。ゆっくりできる外の世界を見てみたい。 そんな感情を表すように、そこらじゅうを跳ね回る。 「ゆふふ、れいむならきっとゆっくりできるわ」 「ちぇんたちがほしょうするんだねー、れいむはいいかいゆっくりになるよー」 「みょん!・・・・・・うわさをしたらかげだみょん!」 自動ドアが開く音。 若い女性が一人、ペットショップに入ってきた。 「いらっしゃいませー」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「ゆ、ゆっきゅりしちぇいってね!!!」 息を揃えて挨拶する3匹。れいむもそれに続いた。 女性は聞こえているのかいないのか、お兄さんのいるカウンターへとまっすぐに向かう。 「あの、すいません。ゆっくりを飼いたいんですけど、どの子がいいのかよく分からなくて・・・・・・」 「はい。失礼ですが、ゆっくりを飼育した経験はありますか?」 「あ、いえ、無いんです。一回も。だから迷っちゃって・・・・・・」 「それなら少々値は張りますが、こちらの金バッジゆっくりなどはいかがでしょう。 既に躾済みで、お手を煩わすことがありません。人間のルールも仕込んでありますので、散歩のときなど―――」 れいむは会話を交わす二人を嬉しそうに見つめている。 もしかしたらこのお姉さんがれいむの飼い主さんになってくれるかもしれない。 たまに人間さんがやってくる理由はそういうことだったのだ。 れいむたちと一緒にゆっくりしたい人間さんたちがここへやってくる。れいむの役目は、そんな人間さんをゆっくりさせること。 今までの疑問がようやく解けていった。 期待を込めて、きらきらと目を輝かせるれいむ。 れいむは人間さんのために、ゆっくり生まれてきたんだね。 生まれて初めて理解した己の存在意義のために、さりげなくだが自分をアピールした。 しかしれいむの頑張りは無駄に終わった。 この女性は話を聞くだけ聞いて、検討をするために帰っていった。 とりあえずは保留。結局ペットショップ内の誰も買われることは無かった。 「ゆぴー・・・・・・ゆぴー・・・・・・」 「おいすーお前ら。ちゃんと元気にしてたかー?」 「いらっしゃいま・・・・・・ってお前か。久しぶり」 「「「ゆゆっ!おにいさん!!ゆっくりしていってね!!!」」」 「ゆっ!?」 れいむはそれからお客さんに愛想を振りまいたがなかなか買ってくれる人がおらず、疲れて眠ってしまっていた。 他のゆっくりも大体みんなお昼寝中。今は大体午後3時ほどだ。 そんな時、また一人のお客が現れた。3匹の金バッジゆっくり達の元気たっぷりのご挨拶。 びっくりしてれいむも目覚めてしまった。 「おう今日は一体何の用だ」 「お前、それが客に対する態度か。一応俺客なんだけど」 「どっちかというと供給側だろお前。冷やかしなら帰れよ」 「ちゃんと用事はあるよ。半分はありすたちの様子見だけどな」 れいむはガラスにくっつき、二人の人間の会話を聞き取る。 お兄さんと仲良さそうに話している、もう一人のお兄さん。 一体誰だろう。 「ありす、ちぇん、みょん。元気にしてるか?」 「ありすたちはとってもゆっくりしてるわ!!!」 「わかるよー!げんきだよー!」 「ちーんぽ!!!」 「って言う割に、売れ残ってるのな、お前達・・・」 それからありすたちと楽しそうに会話するお兄さん。 もしかして、彼がありすたちの言っていた『お兄さん』だろうか。 「値段が高いのがいけないんじゃないか?○○○○○円って俺から見ればどう考えてもぼったくr」 「チェストオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!」 「ごふぅっ!!!・・・・・・なっ!何をするだァーッゆるさんッ!」 「うちはこれでも格安だボケェ!お前から直で買い付けてるからこんなに安いんだよ!! つーか金銭感覚と経済感覚が麻痺してるお前に言われたくないわ!!」 じゃれ付き始める(どう見ても殴り合いだが)を始めるお兄さんたち。 やっぱりあのお兄さんは件の『お兄さん』らしい。 ありすたちをあんなゆっくりしたゆっくりにしてあげたのはあの人なんだ。れいむもあのお兄さんとゆっくりしたい。 れいむの胸がまた期待に高鳴る。 「・・・・・・ぐふっ、相変わらず強すぎだろ、お前・・・・・・」 「鍛えてますから」 「・・・・・・それで、用件はなんだ。ちゃんと何か買ってけよ」 「ああ、今日の用件はな、こいつら」 そうしてお兄さんが指差したのは、れいむが入っている水槽だった。 「・・・?なんでまたそんなものを?お前ならいくらでもありそうじゃないか」 「いや、ちょっと最近切らしちゃってて」 お兄さんがれいむを買ってくれる。 きっと、れいむを金バッジが取れるように勉強を教えてくれるんだ。 れいむは喜びに打ち震える。 「そんで?何匹必要なんだ?」 「今何匹いる?」 「今は・・・・・・13匹だな」 「じゃあそれ全部」 「はーい。260円ね」 小銭を受け取り、れいむの水槽に近づいてくる(店員の)お兄さん。 蓋を取り、れいむに向かって手を突き出してきた。 ちょこんとリボンをつまみ、れいむを持ち上げる。初めての浮遊感にれいむはご機嫌だ。 「ゆぅ~!おそらをとんでるみたい!!」 お空の旅を楽しむのもつかの間、れいむは少し大きめの紙箱の中に入れられた。 光の届かない箱の中は薄暗い。紙屑でできたクッションにぽよんと着地するれいむ。 これからお兄さんのおうちに行って、お兄さんをゆっくりさせるんだ。れいむのわくわくは止まらない。 続けざまに他の子ゆっくりも紙箱の中に入ってきた。 13匹も子ゆっくりが詰め込まれれば箱の中はぎゅうぎゅう詰めだ。少し苦しい。 でもれいむはそんなこと気にならない。何故ならこれからとてもゆっくりした生活が待っているから。 「おちびちゃーん!ゆっくりしたこになるのよー!」 「がんばるんだよー!わかってねー!」 「りっぱにせいちょうするんだちーんぽ!」 箱の向こうから、金バッジゆっくり三匹の声が聞こえてきた。 れいむは嬉しくなり、「ゆっくりしていっちぇね!!!」とご挨拶。 「ありがとうございましたー」 「ありす、ちぇん、みょん。お前らはこういう風にじゃなくて、ちゃんとした飼い主に飼われてくれよ」 そう言い残すと、お兄さんはペットショップから出て行った。 れいむ達が詰め込まれている紙箱を持って。 暗い箱の中で、れいむは皆にお話を始めた。 今時分たちがどういう状況に置かれているかを。 これから自分達がどういう生活をしていくのかを。 飼い主のお兄さん、そして外の世界のことを。 「ゆゆぅ?きんばっじ?なにしょれ?」 「とってもゆっきゅりできるの?まりしゃ、ゆっきゅりちたい!!」 「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひとなんだね!!」 「ゆぅ~ん!!れいみゅもおしょといってみた~い!!」 れいむの話を聞いて皆もご機嫌だ。 それに目を閉じて耳を澄ませば、箱の外から風さんの音や鳥さんの鳴き声が聞こえてくる。 もう既にここは新しい世界なんだ。 普通、このような箱の中では子ゆっくりは寝てしまうものだったがれいむは興奮のためずっと起きていた。 急に、ガチャンと音が立った。 れいむは直感する。これは、お兄さんがおうちに入った音だ。きっとここでれいむたちはゆっくりするんだ。 これはお兄さんがドアを開いた音だった。れいむの直感は当たっている。 トタトタとお兄さんが廊下を歩く音が聞こえる。 そして振動。紙箱がどこかの地面に置かれたようだ。 れいむの興奮は最高潮に達する。 きっともうすぐこの新しい世界に出会えるのだろう。 そして、この箱を開けるのはお兄さんだ。そうしたら精一杯ご挨拶をしよう。 今までは口足らずだったけど、今度はちゃんと言えるはずだ。 だってれいむもまた、新しい世界に生まれるのだから。 箱が少しずつ開かれ、光が差していく。 この光は祝福。れいむ達の新しいゆん生を祝ってくれているのだ。 新しい第二のゆん生に備えて、れいむは大きく息を吸う。 そうして、箱は完全に開かれた。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!!」 「おーい、れみりゃ、ふらん、おやつの時間だぞー」 「「「「「うー!!!」」」」」 れいむ達は捕食種用の生餌だった。 ひとつの水槽に、十匹以上も子ゆっくりを雑に詰め込み、躾もされず、餌はカラカラのドライフード以外に無い。その理由がこれだ。 1匹二十円の取るに足らない、ただ食べられるためだけの存在。 そもそも住む世界が違ったのだ。 ありすたちは恵まれた世界の住人で、れいむはそうではなかった。それだけの話だ。 だが、ありすたちと話してしまったことでれいむは幻想を抱いてしまった。それが決して叶うことを知らずに。 ありすたちのようなゆっくりしたゆっくりになりたい。 無理だ。ありすたちとれいむでは、生まれも育ちも運命すら、全てが違う。 お外の世界に行ってみたい。 無理だ。れいむはここで食われる。居間のテーブルの上がれいむのゆん生の終着駅だ。 お兄さんをゆっくりさせたい。 不可能だ。彼はれいむのことを気にもかけていない。ただのペットの餌としてれいむを認識している。 結局は無駄でしかなかったのだ。 飼いゆっくりに対する憧れも、外の世界に対する期待も、お兄さんに対する感情も。 終ぞ、そんなことは知らずに。 れいむは絶望と疑問を絶叫に込め、食い散らかされ、そして死んでいった。 おわり ――――― 書き溜めです。 ペットショップの餌用金魚とかこんなもんだろと思って書いてみました。 このSSに感想をつける
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ゆっくり専用動物病院「ゆっくりにっく」 助手を募集しています。 資格も不要で、経験は問いません。 可愛いゆっくり達と楽しくお仕事をしませんか? 俺が手に取ったチラシにそんな文句が踊っていた。 近所で何か建物を作っていると思っていたが、ゆっくり専用の病院だったとは。 ゆっくりといえば、その姿を見ただけで踏み潰す人間もいる一方、その可愛さに惚れ込みペットにする輩もいるという。 近頃では、傍若無人なゆっくりをペット用に躾けるブリーダー、通称ゆっくりブリーダーなるものもいるらしい。 「時給もなかなか良さげだしなあ・・・」 ふと、目が隣の部屋に続く扉に向く。 あの部屋には20匹近くのゆっくり霊夢が閉じ込められている。 気が向いたときに、いつでも潰して遊べるようにしているのだが、いかんせん維持費が高くつく。 親の遺産でまったり生活しているニートの俺には痛い出費だ。 そう、俺にとってはゆっくりなど、ただ潰して遊ぶためだけの道具だ。 患畜である「しあわせー」なゆっくりなんて見たら思わず殺してしまいそうだ。 やめとくか、そう思っていると飼っている猫が擦り寄ってきた。 それと同時に気が付く。 「そういえばお前、お医者さん嫌いだもんなあ。注射は痛いだろうけど、あれはお前のためなんだよ」 「にゃー」 そう、飼い主にとっては善意でも、実際に注射されたり腹を割かれるのはペットなのだ。 ゆっくりの知能など、猫とたいして変わらないはずだ。 きっと、なぜ痛い思いをさせられているのか理解できないだろう。 幸せいっぱいで育ったゆっくりへの「虐待」が見られる場所なのかもしれない。 俺はゆっくりにっくの住所を確認し、家を出た。 「さっそくだけど、これからいいかな?人手が不足しててね」 面接を終えると、そんなことを言われた。 「はい。よろしくお願いします」 ゆっくりのお医者さんは、ごく普通の白衣を着たごく普通の男性だった。 面接をした事務室から出て、受付に移動する。 「まだ受付も雇ってなくてね。これだけ記入してもらって、診療室まで来てもらってくれ。」 渡されたのは、簡易カルテ。 10分前までごく一般的な虐待お兄さんだった俺にいきなり仕事を任せるなんて、本当に人手が足りていない病院だと思う。 簡易カルテを見ると、いくつか記入してもらう項目がある。 飼い主の名前、住所、ゆっくりの種類と年齢など、本当に簡単なものだ。 病院に来た理由を書く欄はなかったので、診療室で最初から話を聞くのだろう。 お客さん(患者)が1人もいなかったので、俺は受付に乗ったゆっくり魔理沙の人形をつついて遊んでいた。 カランコロン。 喫茶店に入ったときのような音が鳴り、扉が開いた。 「こんにちは。初めてなんですけど」 「ゆっくりしていってね!!!」 現れたのは身なりの良い、着物がよく似合ったご婦人。 胸の前で抱えていたのはゆっくり霊夢だ。 ソフトボールより一回り小さいので、おそらく今年生まれた子供だろう。 「では、こちらにご記入いただけますか?」 受付カウンター越しに、簡易カルテと鉛筆を渡す。 「ゆゆっ?これはゆっくりできるもの?」 興味津々に、子れいむは簡易カルテを見ている。 ぷっくりとした体。 瞳は綺麗で、髪の毛のツヤも申し分ない。 リボンの手入れもきちんとされているようで、鮮やかな赤が美しい。 潰しがいがありそうだ、無意識に拳が固くなっていた。 「――っと」 俺は今、助手なのだからそんなことをしてはダメだ。 固くなっていた拳を緩め、子れいむに微笑んだ。 「ゆっくりしようね!!」 ああ、殺したい。 「書き終わりました」 女性が簡易カルテと鉛筆を受付カウンターに置く。 生後3ヶ月。 子れいむは予想したとおり、今年生まれたゆっくりであった。 記載漏れがないことを確認し、俺は女性を診療室へと導いた。 「・・・・というわけで、ウチのれいむにワクチンをお願いしたいんです」 「ははぁ、なるほど」 先生と対面した女性は、退屈していた子れいむを撫でている。 俺は先生の横で話を聞いていた。 女性は、予防接種のために来院したのだ。 最近、この子れいむに野生のゆっくり魔理沙の友達ができたため、感染症を心配したとのこと。 それに夏も近くなり、フィラリアのことも心配だったらしい。 「接種はしますが、あまり野生のゆっくりと遊ばせるのはお薦めできませんね」 「そうですか?」 「遊んでいるつもりでも、ケガをすることもありますし。ケガの箇所を舐めることで感染することがよくあるんですよ」 「でも接種をすれば予防できるのでしょう?」 「いえ、予防接種と言っても全てが予防できるワケではないんですよ。いわゆる、ゆっくりエイズなんかは予防できません」 「まあ」 「他にもいくつか予防できないものがありますので、室内飼いをしたほうがれいむちゃんのためです」 なんだか講座めいたことをやっているが、そんなことはどうでもいい。 注射ではあまり苦しまないではないか。 もっと、拷問のような治療をやって欲しいものだ。 「では、注射をしますか。鬼井君、ちょっとこちらのれいむちゃんを押さえててもらえますか」 「あ、はい」 妄想の中で子れいむを潰していたので、いきなり名前を呼ばれてびっくりした。 俺は女性に差し出された子れいむを、台の上に乗せ、押さえつけた。 「ゆ?おにいさんなにをするの?ゆっくりはなしてね!」 「ちょっと痛いけどゆっくり我慢してね!」 ついついテンションが上がってしまう。 うっかり出てしまったゆっくり口調を、少し反省する。 「ゆゆう!おかあさんたすけて!!ゆっくりできないよ!!」 子れいむが女性に助けを求める。 しかし、これは子れいむの為の処置だ。止めるはずがない。 それにしても、おかあさん、と呼ばれているということは産まれたてを貰ったのだろうか。 「れいむ、我慢してね。そしたら美味しいお刺身を食べさせてあげるから」 その子れいむに、先生の握った注射器が子れいむの額に刺さった。 刺さった細い針は、皮を乗り越え餡子まで進んでいく。 「ゆぎぃいいいっ!!!いぢゃいよぉぉおおおっ!!!!ゆっぐじできないおおおおお!!!!」 手に、逃げようとする子れいむの力を感じた。 それに負けじと俺も力を込める。 「ゆっぎ!!ゆぎいいぃいぃい!!!」 いつの間にか、女性は部屋の隅で耳を押さえていた。 可愛がっている子れいむの叫びは聞きたくないらしい。 こんなに可愛い声で鳴いているのに、酷い飼い主だな。 子れいむを押さえている手には、ぬるぬるとした不気味な体液が溢れている。 涙が台に流れ、まるでおしっこを漏らしたようだ。 「ゆっびひぃ!!!いだいいいい!!!!」 それにしても、たった一本、それもこんな細い針でここまで痛がるなんて、弱いゆっくりとしか思えない。 俺が幽閉しているゆっくり霊夢だったら、こんな針じゃここまで鳴いてくれない。 野生のゆっくりでもここまで騒ぐかは疑問だ。 先生が注射器の後部を押し、ワクチンの注入を始めるとさらに子れいむは声を荒げた。 「ゆっぎゅああっぁあぁ!!!!いぢゃいのおおおっ!!!!おがああざんん!!!だずげでええ!!!」 ワクチンの増加分を吐き出すように、涙をこぼしている。 「れいむごめんね・・・!ごめんね・・!ちょっとだけ我慢してね・・・!」 部屋の隅で女性がぶつぶつ呟いていた。 「おがあああざああああん!!!!どうぢでえええ!?!?!どうぢでれいむをおぉおおお!!!??」 信頼していたお母さん。 目の前にいるのに助けてくれないお母さん。 子れいむは何も理解できなかった。 「はい、終わりだよ」 先生が注射器を抜くと、子れいむはグッタリと仰向けに倒れた。 額を見ていると穴はすぐにふさがった。 こんな小さな穴は特に治療しなくても、すぐ再生できるようだ。 「ごめんね、れいむ。大丈夫だった?」 女性がぐったりとした子れいむを手に取る。 「ゆ・・・・どうじで・・・?どうじで・・・?」 子れいむの中には、自分を助けてくれなかった女性への不信感が蠢いていた。 「このあと、たっぷり可愛がってあげてください。すぐ忘れますよ」 慣れているのか、先生のフォローが入る。 女性はそれに納得し、その場で料金を支払い帰っていった。 「鬼井君、はじめての助手体験はどうだったかい?」 俺が手についた子れいむの体液を洗っていると、先生が話しかけてきた。 「あのれいむ凄い、悲鳴でしたね。結構びっくりでしたよ」 「ペットのゆっくりはあまり痛い思いをしないからね」 「ですよね。野生のだったらあそこまでは騒ぎませんよ」 一瞬、先生の眼が鋭くなったのを感じた。 虐待お兄さんということがバレたのかと不安になる。 「あの叫び声に嫌になる人も多いからね。人が不足して困るよ」 確かに、ゆっくり好きならこの職場は地獄だろう。 可愛いゆっくり達が次々に泣き叫ぶのだ。 「ちょうどいいから、次の手術を手伝ってもらおうかな。ゆっくりには麻酔が効かないから・・・悲鳴を覚悟してね」 俺の返事もまたずに、先生は奥の部屋へと消えた。 手術。 なんて心躍る単語だろう。 覚悟どころか、俺は興奮して震え始めていた。 「ゆ!はやくここから出してね!!おにいさんのおウチに帰してね!!」 ケージに入れられて運ばれてきたのは、バレーボールサイズのゆっくり魔理沙。 成体といえる大きさだ。 黒光りする帽子、やわらかそうな皮に、しなやかな金髪。 非常にゆっくりしたゆっくり魔理沙だ。 実に美しい。 「これは今朝連れてこられたゆっくり魔理沙だよ。一人じゃ苦労するからね。本当助かるよ」 成まりさをケージから出した先生が言う。 鉄製の皿のようなものに粘着質のある液を流し込むと、先生はそれを成まりさの底部に貼り付けた 動けなくするための道具だろう。 「ゆ!?動けないよ!!ゆっくりできない!!!」 なんとか逃げようとしているが、完全に固定されて成まりさは動けない。 「先生、何の手術をするんですか?」 素人目だが、この成まりさは病気をしているようには見えない。 声も大きいし、体もしっかりしている。 「避妊手術だよ」 なるほど。 ポン、と手を打った。 「虚勢手術ではないから、どちらかと言えば楽だよ」 「交尾はできるけど、妊娠できないようにするんですか?」 やりチンまりさにするのだろうか。 「まさにその通りだよ」 「でも、それなら虚勢手術もしちゃえばいいのでは?なぜ避妊手術だけを?」 子供がいらないなら、両方処置しておけばいいのに。 「ゆっくりは母体をすると危険だろ?」 「そうですね。若かったり、体力が落ちてたら死にますよね」 一時期、無理矢理交尾させて殺すことがマイブームになったのでよく知っていた。 この成まりさくらい大きければ耐えられるが、あまり一度に回数をこなすと栄養失調なのか、黒ずんで朽ち果ててしまう。 「だから野生のゆっくりに襲われたときに備えて、避妊手術するんだ」 「はい」 「でも、飼い主さんの中には可愛がってるゆっくりの赤ちゃんが見たい人もいるわけだ」 「そうでしょうね」 「そんなときは、適当な母体を捕まえて自分のゆっくりと交尾させるんだよ。母体にはなれないけど、交尾はできるから」 「ああ、なるほど」 飼い主のエゴにも思えるが、所詮ゆっくりなので同情もしない。 殺されるにしろ、可愛がられるにしろ、人間を喜ばせるだけの道具なのだから。 「ゆ!まりさに何をする気なの!?」 交わされる会話から恐怖を感じたのだろう。 動けない成まりさが顔を青くしている。 先生はそんな成まりさの目の前に、箱を置いた。 「これが、手術器具だよ」 箱から出てきたのは、先端が尖った鉄の棒。 長さは30センチメートルほどしかないが、太さは小学生の腕ほどもある。 俺は思わず唾を飲み込んだ。 「では、さっそく始めようか」 「はい、先生」 つづく。 このSSに感想を付ける
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社員ゆっくり ※現在の地球とは少しだけ軸がずれたパラレルワールドだと思ってください ※ゆる虐待は多少ありますが、愚鈍で高慢なゆっくりをボコボコにしたい方には合わないと思います。箸休めにどうぞ。 ※お兄さんと劇中の飼われゆっくりは仲が良いです ※作品中に登場する会社名等は実在のものとは一切関係がありません ゆっくりが出現して20年程、元々は野山に住んでいたゆっくりは徐々に人里に下りていき、街へも進出しだした。 当初はゴミを荒らし、住居に侵入したりとやりたい放題であったが、当然ながらそういったゆっくりは人間によって即処分される。 その結果、(ゆっくりにしては)頭がよく賢い、それでいて比較的気性の穏やかなゆっくりが残り、そして繁殖を繰り返した。 頭がが良く穏やかなゆっくりであれば当然人間に迷惑をかけることも少ない。となると殺されることも少なくなる。 街ゆっくりは今では人間の(それなりに)良きパートナーとして生き残っていた。 「ただいま」 男がそう言い玄関の戸を開けるとまりさが廊下をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。 「ゆっくりおかえり!!」 このまりさはもう1年ほど前から男が飼っているゆっくりだ。野良犬に襲われていた横を通りがかっただけなのだが なぜか犬がそのまま逃げてしまいまりさは男のおかげだと泣きながら感謝し、それから懐いてしまったのだ。 どうやら飼いゆっくりだったらしいのだが、飼い主の事情で捨てられてしまったらしい。 変に媚びることもなく淡々と語るまりさを見て最初は「まぁいいか」くらいの気持ちでペットにしたのだが、 実際は一人暮らしの寂しさを紛らわせたかったのだ。 今となってはペットというよりは居候といった感じだが。 「ゆっ!おつかれさま!おみやげは?おみやげは?」 「あ?別に出張でもないし特に何もないぞ。つうかおまえ毎日それだな!」 「ゆぐっ・・・だってまいにちひまだし・・・おにいさんおかねくれないからあそびにもいけないし・・・」 そう言ってまりさは口をとんがらせてすねていた。 人間の社会に入り込んだゆっくりは貨幣の概念を理解している。ゆっくり用のグッズを販売する店や ゆっくり用のレジャー施設も存在し、ゆっくりだけで買い物に行っても極普通に対応してもらえるので お小遣いを与えられたラッキーなゆっくりでいつもごった返していた。 「働かざるもの食うべからずという言葉を知っているか。」 「ゆぅ・・・おにーさんからなんどもきかされたからしってるよ・・・」 「ならそういうことだ。三食屋根付きなだけでもありがたいと思うように。」 この社会にも野良ゆっくりは存在する。昔に比べて賢いゆっくりが増えた分人間もそれ相応の対策はとってある。 ゴミ捨て場などもカラスはもとよりゆっくりにも破られないようにいろいろ改良がなされている。 となるとそこらの雑草や花を食べるしかない。だが賢くなったゆっくりは人間の所有する整備された花や植物を 勝手に食べるとどうなるかは知っていた。よほど危機的な状況ならば分からないが、まずそういった愚挙は犯さない。 まりさはそういった行為をしでかした野良ゆっくりが目の前で潰されたり保健所に連れて行かれた場面を何度か見ている。 そんな生活はごめんだった。 中には人通りの多い場所で物乞いをするゆっくりもいたが、同情を誘うためか酷く汚れていたり、自ら片目を潰したり するゆっくりが大半だ。まりさにはとてもそんなことはできない。 家に置いてもらい食事まで頂戴していることはありがたいとは思っていたが、ゆっくりはゆっくりなりに欲もある。 雑誌を見たりテレビをつければゆっくり用おもちゃの広告やらなんやらでその欲求を無駄に刺激するのだった。 食事を済ませ風呂から上がりパンツ一丁の男はまりさと居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。 おやつの笛ラムネを口にしたまりさはピープー音をたてていたので「うるさい」と言われ男に足で軽く蹴られた。 「ゆっくり王国」 まりさが一番好きな番組だ。色々なゆっくりやその生活を取り上げる番組だ。 オープニングタイトルが消えた後スタジオには中に人間が入っている巨大れいむとまりさのきぐるみがドスンドスンと 飛び跳ねている。 その中のコーナーの一つ「ゆっくりお宅拝見!」が始まった。 さまざまなゆっくりが人間の家で暮らしている様子を映し出している。 「この貧乏芸人の家で飼われてるれいむは悲惨だなぁ・・・おい見ろよなんだあの尋常じゃない色の布団のしみは」 「ゆぐ・・・あんなところでねたらかゆいかゆいだね」 「このゆっくり腹話術ってれいむの下から手つっこんでないか?」 「かんぜんにいっちゃってるね!このれいむはもうはいじんだよ!おおこわいこわい」 どうでもいいような話をしながらだらだらする一人と一匹。まりさは笛ラムネを歯で縦に割りバリバリと食べていた。 ボフッ 男が寝たまま放った屁をまともにくらい、「ゆぎゃあ!」と叫び後ろにのけぞるまりさ。 バシンバシンとまりさが尻に体当たりを始める。 「ブーブーはむこうむいてしてっていったでしょ!!!」 ゆっへっへとふざけて笑った男が再びまりさが体当たりしてきたタイミングでブッともう一発おみまいした。 「ゆぎゃぎゃぎゃ!!!」 ごろんごろんと転がるまりさ。 「へこきれみりゃはしね!」 鉢植えの土に敷いていた小石を口に含み男の尻めがけて吹き付ける。さすがに尻への体当たりは危険度が大きいことに気づいたようだ 「こらー散らばすなー、って、おいそんなことよりこのまりさすごいぞ。見ろ見ろ。」 テレビでは既に違うゆっくりが紹介されている。 大金持ちに飼われているゆっくりだった。 お城のような家で飼われているまりさがそこにいた。髪の毛の艶もすばらしく、肌の張りもステキだ。 まりさはテレビを見ながらボーっとして咥えていた小石をぽとりと落としてしまう。 「すごいゆっくりだね・・・まりさのようなしょみんとはべつじげんだよ・・・」 「庶民で悪かったな」 男は貧しいわけではない。むしろ普通より多く稼いでいた。ただ、贅沢を好まない性格なので飾り立てたり 無駄遣いをしないだけだった。単にケチというだけかもしれないが。 ただそれでもまりさ専用の部屋を用意するなどしているあたり余裕がある証でもあるのだが。 テレビの中のまりさは贅沢な装飾品を身に着けたり、高そうな食事を与えられたりしていた。 特注で作らせたゆっくり用天蓋付ベッドでくつろぐ金持ちまりさは優雅に「ゆふふふ」と笑っていた。 「おにーさん!まりさもあんなべっどほしい!!ほしい!!」 まりさは屁のことなどすっかり忘れて飛び跳ねて男に懇願している。 「おまえのベッドで充分だろが、いつも気持ちよさそうに寝てるだろ」 「ゆぐぐぐ!あのくっしょんはおにーさんがすわってぶーぶーするからくさいよ!あんなべっどのほうがいいよ!」 「だめだだめだ、そんなに欲しかったら自分で稼いだ金で買え」 「ゆぎぎぎぎ!」 歯軋りするまりさを無視して男は尻をかきつつテレビを見ている。 お宅拝見のコーナーが終わり次のコーナーへと移っていた。どこかの会社のオフィスらしい。 仕事をしている社員の後ろをゆっくりが歩いていた。 『こちらの会社では社員の癒しを目的としてゆっくりを導入しているそうです。このゆっくりれいむのお仕事は 社員を和ませること。そして簡単な雑務ならこなしちゃうんですよ~すごいですね~広報としてパンフレットにも 登場しちゃったりしています』 レポーターがそう言うと穏やかな顔つきのれいむが 「れいむのおしごとはみんなをゆっくりさせることです!ゆっくりしていってね!」 そう元気よく叫んだ。 場面が変わって休息室でコーヒーを飲んでいる社員がゆっくりの頭をなでている場面が映る。 また別のゆっくりはゆっくり用の台に乗ってコピーまで取っているではないか。 更に別のゆっくりに至っては受付に鎮座し来客に「いらっしゃいませ!」と挨拶をしている。 プレゼン資料を客の数だけまとめてホチキスで留めているゆっくりまでいた。 ひらがなくらいしか読めないゆっくりだが、同じ図柄の紙をそれぞれまとめる程度は出来るようだ。 そのゆっくりはなぜか眼鏡をかけていた。 『なんと!このゆっくり達はこの会社の社員なんです!みてくださいこの社員証を』 リボンについた社員証がアップになり、そこには「れいむ025」と書かれていた。 「このゆっくりは偉いなぁ~ちゃんと働いてるんだね~」 男は少し意地悪くそう呟く。 『しかもこの社員ゆっくりにはちゃんとお給料も出るそうなんです。すごいですね~』 男の意地悪い発言に苦虫を噛み潰したような表情をしていたまりさは「お給料」という単語に反応し、 これだっ!という顔をして叫ぶ。 「ゆゆゆゆゆ!!!!まりさもはたらく!はたらいておかねもちになる!!!」 「おまえが働く?馬鹿言うんじゃないよ。おまえ働くってどういう事かわかってるのか?あ~ん?」 足の先でまりさの頭をぐりぐりしながらからかう男。 「しつれいだね!まりさははたらきたいんだよ!おかねをかせいでおにーさんをたべさせてあげるんだから!」 「ウヒャヒャヒャ!いいねぇ~ゆっくりのヒモかぁ~やれるもんならやってみな~」 相変わらずまりさをからかい続ける男はニヤニヤと笑っていた。 ぷくーっと膨れたまりさはこう続ける。 「やってみなっていったね!?まりさほんきだよ!ほんきなんだからね!!」 男はたわごとだろうと高を括りニヤニヤしたままだった。 「あとおにーさん!ぱんつのすきまからたまたまがまるみえだよ!ぷぷっ!」 まりさの顔に真正面から蹴りが入った。 翌朝 騒がしい音がして男が目を覚ます。 「なんだこんな朝早くから・・・うるせぇな・・・」 眠い目を擦り音のする方を見るとまりさが大量の新聞紙やらちらしを広げて何やらやっている。 「・・・おまえ何やってんだ?」 「ゆっ!おはようおにーさん!まりさはおしごとのれんしゅうしてるんだよ!」 見ると顔の中央に男の足型がうっすらと残ったままのまりさが回収に出そうと部屋の隅に積んでいた新聞とチラシの山を解き、 社会面、スポーツ面、経済面、そして同じような色合いのチラシごとにそれぞれまとめていた。 「きのうのてれびであのこがやってたのとおなじことできたよ!すごいでしょ!」 まりさは腹(?)を突き出すようにしながらフガフガと鼻息を荒くしている。 「ほっほー・・・おまえなかなかやるなぁ。つうか本気で働きたいのか?」 「ゆっきーーー!!ほんきだっていったでしょ!」 体を膨らませ抗議の意を表すまりさ。朝からかなりテンションが上がっている。 「ふうむ・・・よしわかった。そこまで言うなら試してみるか。ただしやるからには本気でやれよ」 まりさの熱意に男が折れた。あっさりと男が働くことを許可したせいかまりさは一瞬ぽかんと口を開けたままで 男を見つめていたが、その意味を理解し次の瞬間パァァと顔が明るくなり、体を縦に伸ばしてクネクネとねじり始める。 「ゆっきゃあああ!!これでまりさもおかねもちだね!!」 どうやら喜びの意思表示らしい。 その様子は少しキモかった。 「さて、んでどこで働くつもりなんだ?」 「ゆっ、きのうてれびでやってたところがいいよ!」 「昨日の?どこだっけ・・・ああ、日本ミラクルか。確か最近青山に自社ビル建てたんだっけかな・・・青山なら通勤途中だし まぁいいか・・・どれどれ」 PCを起動しブラウザから会社のサイトを開き「採用情報」をクリックする。 新卒採用、中途採用、障がい者採用・・・・ゆっくり採用 思わず飲んでいたお茶をブッと噴出す。 わかっていて開いたページだが改めて「ゆっくり採用」などと書かれていると滑稽で仕方が無い。 「ゆっくり採用専用ページ」をクリックすると、微笑んだまりさとれいむが「ゆっくりはたらこうね!」という台詞と 共に表示された。 「ゆっーー!!!すごくゆっくりしてそうだよ!おにーさんはやくはやく!」 いつのまにか机の上に上り一緒にモニタを見ていたまりさが興奮気味に男をせかす。 【職務内容】 社員に対する福利厚生を目的とした活動全般 広報活動へのサポート 平易な雑務(能力による) 【応募資格】 年齢:成体ゆっくり 経験:問わず(労働経験あれば尚可) その他:飼いゆっくり登録済み、穏やかな気性、協調性必須、ありす種は去勢済みであること 【語学力】 ひらがなの読解力(漢字、英語の読解力があれば尚可) 【勤務時間】 3日~5日/週 9 00-17 30 【待遇】 15,000円~/月(昇給あり) 契約社員 「うわぁ、割と本格的だな・・・ところで英語を話せるゆっくりはいるのだろうか・・・?」 「おにーさん!どうなの?まりさだいじょうぶ?」 モニタの横でぼよんぼよんと跳ねながらはしゃぐまりさ。 うるさいので頭を手でぎゅうと押し付けながら詳細を確認する。 「ふうむ・・・一応おまえは条件的にはクリアはしているな。おい、おまえ協調性あるのか?」 「ぐむむびゅ・・・ぎょーぢょーぜいでなあに」 押さえつけられたままのまりさが半分潰れたまま質問する。いつもならこんなことするとすぐに怒り出すまりさだったが 今は希望に満ちているのか気にもとめてないようだった。 「ああ、すまんすまん、ええと他のゆっくりや人間と一緒に仲良くしたり、いう事聞いたりできるのか?」 「もちろんだよ!まりさはともだちのれいむやぱちゅりーとなかよくしてるよ!それにおにーさんみたいな いじめっこのいうこともちゃんときいて・・・」 再び手で押さえつけられてむぎゅうと言って黙る。 「まぁ確かにそうだな、おまえは他のゆっくりとも喧嘩しないし大丈夫かなぁ~って、あ・・・」 【今期のゆっくり採用の募集は終了しました】 「ハイ残念でした・・・・もう募集は終わったってさ。」 「ゆがーん・・・!!!」 ショックでそのまま机の上からぼたっと床に落ちる。 「ゆっくりした結果がこれだったな。」 落胆したまりさはしばらくふてくされて横になり、ぐでっと溶けたアイスクリームみたいになっていたが のそりと起きると男に向かって口の端をゆがめてこう言った。 「・・・はたらいたらまけかなっておもってるよ・・・」 おしまい 続く(のか?) =============== あとがき 虐待らしい虐待がありませんでしたが、まぁこういうのもいいかなと思いました。 斬新な虐待方法が浮かばなかったというのもありますが。 飛び散る餡子を望んでいた方々申し訳ない。 これまでに書いたもの うんうんの報い ゆっくり罠地獄その1 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
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※あんまり虐待してません ※俺設定をひたすら書き綴ってみたくなったので、書いてみました ※ここのゆっくりは、すっきりするゆっくりです タイトル『ゆっくりの光』 ゆっくりゲージの中で、ゆっくりが全滅していた。 幅1メートル、奥行き2メートル、パイプフレームに全面透明プラスチック板を嵌め込んだゲージだ。 天井部分には20センチ四方の蓋が付いており、そこから餌を入れたりできる。 二階一戸建て、その一階の空き部屋にビニールシートを敷いて、その上に設置した。 ゆっくりハウスとして段ボール箱を隅に、その側に水場、対角線上にトイレを置いていた。 全滅したゆっくりはいずれも苦悶の表情を浮かべ口から泡を吹いて死んでいた。 やることのなかった青年は、死因特定のための解剖を行った。 それで何かが判るとも思っていなかったが、意外な発見があった。 未消化な昆虫の外骨格の断片が見つかったのである。 他のゆっくりも、昆虫の断片や木の実などが未消化のままであった。 これは、ゆっくりが餡子化できていなかった、ということである。 悪食なゆっくりは、なんであれ、食べたモノを餡子化できると一般的に考えられている。 しかし、このゲージで全滅していたゆっくりは、例外なく未消化な何かがあった。 ゲージに入っていたゆっくりは、ゆっくりショップを経営する青年の友人から押しつけられたモノだ。 その友人はゆっくりを増産する際、うっかり作り過ぎてしまった。 潰してゴミにする場合、ショップからだと産業廃棄物として処理しなければならないので、手間と費用がかかる。 そこで、両親が海外出張中に自宅警備員として待機している青年に白羽の矢を立てたのだ。 野生で拾ってきてショップで繁殖させてから良種を選別した、20世代目のゆっくりだった。 青年はゆっくりについてほとんど知識を持ち合わせていなかった。 ゆっくりを引き取ったときも、飼育方法など、調べることすらしなかった。 ただ、ネットで検索したとき、「ゆっくりコンポスト」のHPに興味を引かれた。 「ゴミ箱代わりに使えるのか、餡子に変換できるんなら、生ゴミの臭い消しもいらねーな」 自宅警備員だから、外にゴミ出しに行くのは保安上問題がある。 しかし、生ゴミはため込むと悪臭が発生してしまう。 せめて生ゴミだけは何とか処理しないと…。 そこで赤ゆっくりを引き取る条件として、中古のゆっくりゲージを貰いうけた。 ゲージは密閉度が高く、臭いも漏れない。 万が一、ゆっくりの処理能力を上回る生ゴミを投入してしまっても大丈夫だ。 もっとも、インスタント食品中心の食生活をしているので、そんなに生ゴミが出ることはないが。 ゆっくりを引き取ってから、早くも問題が発生した。 餌不足である。 生ゴミの臭い消し代わりに導入したゆっくりだが、餌となる生ゴミが出なければ意味がない。 かといって、愛着のないゆっくりごときのために、ゆっくりフードを購入する気もない。 しばらく放置していたら、ゲージ内に全く見たことのないゆっくりを発見した。 白、緑、黒の斑模様で、何か毛のようなものに覆われている。 「新種発見!まあ嬉しい!」 早速写メを友人に送信したら、返信ではなく電話が直接かかってきた。 「バカ野郎!そいつは死体にカビがはえてんだよ!」 青年は驚いた。 ネットの情報では、ゆっくりは仲間が死体になると、それがゆっくりと認識できなくなり、喰らうとあったからだ。 共食いもせず、餓死死体をカビが生えるまで放置していたとは、なんと冷たい連中だ。 とりあえず青年はビニール袋に手を突っ込み手袋のようにして死体を掴み、そのまま袋を裏返して口を縛り、ゴミ箱に捨てた。 「このままでは生ゴミ処分場が死体生産場になってしまうな…」 自宅警備員である青年は、食料は全てネット注文宅配店で調達している。 ゆっくりごときのために、わざわざ追加発注するのも勿体ない。 このままではゲージ内が腐海になってしまうので、裏山からゆっくりの食料になりそうなものを集めてくることにした。 ネットで調べた結果、野生のゆっくりは主に木の実やキノコ、昆虫を食すらしい。 大きめのゴミ袋を片手に、餌になりそうなものを片っ端から放り込んだ。 ゲージ中央に大きめの紙皿を置いて、そこに先ほど集めたゆっくりの餌をぶちまける。 餌はご丁寧に、ネットで調べた通りの、木の実、キノコ、昆虫の死骸だった。 「ソフトボールサイズだから、こいつらは子ゆっくり。よって、食べやすく潰してやる必要はないな」 しかし子ゆっくり達は食べようとしない。 ペットショップで世代交代を繰り返してきたゆっくりには、目の前の皿に盛られたそれがごはんと認識できないのだ。 青年が「ごはんだよー」と言うのに対し、こんなものは食料ではない、ゆっくりフードをよこせと抗議してくる。 そこで青年は証拠映像を見せてやると、ゲージの壁面に液晶モニタを設置して、ネットで公開されている野生ゆっくりの食事風景ビデオを流してやった。 画面上でまさに眼前に在る木の実、キノコ、昆虫を「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」する野生ゆっくり達。 それを見た子ゆっくり達は、おそるおそる餌を食べる。 あまりの不味さに吐き出してしまう個体もいたが、それ以外の餌を与えられない状況なので、必死に飲み込んだ。 「むーしゃ…むーしゃ…ふしあわせー…」 青年は、文句ばかり言うゆっくりを見て、こいつらがゆっくりできないのはナチュラルじゃないからだと悟った。 人間もジャンクフードばかり食べていたら、イライラする。 日本の若者が荒れているのも、ジャンクフードのせいらしい。 アメリカじゃ、それが原因で暴動まで発生したではないか。 この子ゆっくり達も、ゆっくりフードばかり食べていたから、イライラしているのだ。 今こそ自然食を食べて、ネイチャーゆっくりに回帰するときなのだ! 青年はなんだかよく判らない使命感に目覚め、突き動かされるように山に行っては餌を取ってきてはゆっくりに与えた。 そして冒頭の惨劇につながる。 ゆっくりフードはゆっくりがゆっくりするために研究開発されたもので、それが原因でゆっくりできないことはあり得ない。 しかし、青年のように天動説を信仰しているような人間には、そんなの関係ねぇ。 青年は何故子ゆっくりが全滅したのか考察していた。 同じ食事をしている野生のゆっくりと全滅した子ゆっくりの映像を見比べてみる。 その違いは明白で、「しあわせー♪」と「ふしあわせー…」にあった。 しかも、「しあわせー♪」の時には、『パアァァァ』と光り輝いているように見える。 そういえば、ゆっくり関係のHPにすっきりしている映像もあったが、「すっきりー♪」の時も同様の輝きが見られた気がする。 この光こそが、餡子成分の欠片もないような物質を、餡子変換させる秘密に違いない。 青年はこの光を「ゆっくり光」と名付け、ゆっくりの生命活動の根幹であるとの仮説を立てた。 早速、ゆっくりショップに行って1匹2円の、パチンコ玉より価値のある野良ゆっくりを買い込んでゲージに放り込んだ。 ゲージからランダムに選出したゆっくりれいむを取り出して、別室に連れて行く。 そこで同じくゆっくりショップで買ってきたゆっくりフードを与える。 空腹だったれいむはかぶりついた。 「むーしゃ、むーしゃ、」 しあわせ〜♪を発する前に、青年は手に持った刃渡り60センチのブッシュナイフでれいむを正中線に沿って両断した。 見事に真っ二つになったれいむの口内から後頭部近くにかけてまで、未消化のゆっくりフードが確認できた。 ゆっくりの内臓は発見されていない。 あにゃる付近まで未消化物あることから、この辺りがそうなのだろうと仮定した。 次に、先ほど両断したれいむと同齢と思われるれいむを、同じく別室で食事させる。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 青年主観で『パアァァ』とゆっくり光が出た後、同様に両断した。 れいむの断面からは、未消化物は確認できなかった。 青年はこの結果から仮説を更に発展させた。 ゆっくりが摂取した物質を餡子に変換する際、ゆっくり光を発する 「ゆっくり光」は物質の原子配列変換時に放出される、光子である 以上より、体内で餡子変換を行う「ゆっくり線」の存在が推測される。 ゆっくりが摂取した物質に「ゆっくり線」が照射されると、「ゆっくり光」が体外に透過されるのだ。 青年は更に実験を重ねた。 ゲス個体、とくにまりさ種に良く見られる採餌行動の時はどうだろう。 サンプリングしたゲスっぽいまりさに、大量の高級餌「ゆっくりの缶詰(通称:ゆ缶)」を与える。 「うっめ、これ、めっさうっめ!」 汚く食い散らかすまりさを、れいむ同様両断。 喉らしき部位からあにゃるにかけてバルーン状にたっぷりゆ缶が詰まっている。 予想通り、「しあわせー♪」とゆっくり光を発した後は、全て餡子変換されていた。 「このゆっくり線を自由に使用できるようになれば、すごいことになる」 青年は友人に大量のゆっくり断面写真を見せつけながら言った 「第二次産業革命の始まりだ!地球にやさしくなれるッ!」 「自由に使えりゃ、な」 ゆっくりの餡子変換能力を利用ようと、様々なプロジェクトが立ち上がった。 しかし、いずれも謎の塊であるゆっくりを制御できずに失敗した。 結局、ゆっくりはペットとしての存在価値しかない。 青年もそのことはよくわかっていた。 「うん、ゆっくり線の解明は現在の科学では不可能だろう」 「で?俺を呼んだ理由は?」 「これを見て貰いたい」 青年はテーブルの上にフィールドスコープを置いた。 対物レンズに手作りらしきフィルターのようなものがテープで貼り付けてあった。 「なんだこりゃ?」 「ゆっくり光スコープ、だ」 青年が野良ゆっくり相手に実験中、「しあわせー♪」しているゆっくりを見ている他のゆっくりの目が光った気がした。 そこでゆっくりの目玉を取り出し、板に挟んで引き延ばして円盤状に整形して、フィルターを作成。 フィルター素材の生体部品は乾燥に弱いので、薄いガラスにゆっくりの目玉を挟み込んでキャップに嵌め込み密封してある。 ゼラチン質のゆっくり目玉フィルターを通して見るゆっくりは、ぼやけて見えた。 そして「しあわせー♪」した瞬間、ゆっくりの輪郭が輝いたのが観察できた。 ゆっくり光を青年の感覚ではなく、視覚で捉えることに成功したのだ。 農業地域におけるゆっくり害は深刻化していた。 耕作地に侵入してきたゆっくりは、人間や簡単なトラップで退治できた。 犬を訓練してゆっくりハウンドとして、ゆっくりを狩らせたりもした。 しかし、そうやって高められた選択圧は、ゆっくりの性能を飛躍的に向上させた。 ゆっくりは餡子に記憶を刻み込むため、全体の記憶容量はかなり限定されている。 生息環境によって、生存に必須な記憶を本能として餡子に刻み、次世代に継承させることも必要になる。 強烈な繁殖力を持つゆっくりは、各個体それぞれが膨大な戦略パターンを展開し、人間をも出し抜く個体を出現させた。 巣の迷彩、野外活動時における擬態などが、かなり高度なレベルに進化したのだ。 以前は簡単にわかる巣も、ゆっくりハンターや訓練された犬でさえ発見困難なほどの迷彩を施す。 擬態も高レベルになった。 ある農家が鍬で耕作していたとき、雑草を掘り起こそうとしたら、おりぼんにそれを結び付けたれいむがでてきたのだ。 土に穴を掘って潜り込み、土から露出した部分を草で偽装していたのだ。 掘り起こすまでそれと分からないほどの偽装に、農家は舌を巻いた。 某グリーンベレーのように全身に泥を塗って土壁と同化したり、おぼうしに枝葉をさしてゆっくり畑に接近したりする個体も発見された。 ゆっくりは本来、忍耐力が致命的に欠如している。 おやさいさんがめのまえにあったら、もうがまんできない! だがこの新しい個体群は、苦手であったはずの待機行動を「ゆっくりできる」状態として本能を書き換えることに成功した。 土の中で待つ、泥を体に塗って壁に張り付いて待つ、おぼうしを偽装して待つ…。 それらを実に「ゆっくり」できる行動として、餡子に刻み込んだのだ。 友人はゆっくり害対策について、専門家として意見を求められていた。 だが、ここまで特化したゆっくりを見たことがなかった。 データを集めようにも、巣を見つけることが困難で、発見される個体も死体ばかりだ。 打つ手がないと思われたところに、この「ゆっくり光スコープ」だ。 これが実用に耐えうるものなら、決定的な武器になる。 青年は、このスコープは生体部品を使用しているので劣化が早く、2日しか持たないことと、野生のゆっくりほどゆっくり光感受性が高いことを説明した。 友人は早速この「ゆっくり光スコープ」を借り受け、ゆっくり害が酷い農村へ出向いた。 はたして、スコープを覗いて山を観察したところ、いくつかの光点を確認できた。 さっそく光点の場所へ行くと、迷彩が施され、普通だと絶対分からないゆっくりの巣が発見された。 農村は救われた。 あとがき 読んでいただいた方、ありがとうございます。 ドキュメンタリーっぽく書こうと思ったけど、上手くいきませんでした。 暇を持て余して、一つのことに集中できる環境があると、良いアイデアが出たり発見があったり。 そんな状況にならねーかなー、とか妄想してたら、こんなんができました。 あまり文章が上手くなくてすみません、精進します。 これまで書いた作品 ゆっくり爆弾
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十六夜咲夜は見た。 紅魔館の門前にばら撒かれた四肢と、ダルマになったゆっくりれみりゃを。ゆっくりれみりゃだったものを。 それは頭が潰されていた。 顔の皮は原型を保っていたが、後頭部のあたり、頭の後ろ半分が二目と見られないことになっていて、中身を放射状にブチ撒けていた。 それは十六夜咲夜が可愛がっていたゆっくりれみりゃの成れの果てだった。 なぜ、野良のゆっくりれみりゃと自分が可愛がっているものの区別ができるのか、以前質問した妖精メイドはただ一言「愛」との返答を受けていた。 余談だが、その妖精メイドは紅魔館が誇るメイド長が狂ってしまったと思い、それ以降どこか優しげなまなざしでメイド長を眺めるようになったという。 死体の放置された門前では、いつものように門番が眠りについており、寝息を感じさせず微動だにしないその姿はまるで寝大仏を想起させる。 咲夜は瞬時に下手人を察していた。 「起きなさい、この寝門番」 「んぅむ」 臥龍が目を覚ます。 「あ、おかえりなさい」 紅美鈴が起き上がり言う。大きなあくび。どれだけ寝れば気が済むのだろう? その空色の瞳が自分に焦点があうのを確かめると、咲夜は冷厳と口を開いた。 「これはなに?」 「ああ、侵入者です」 「……侵入者?」 「いや、侵入しようとした肉まんが正しいですね。ごみが目障りでしたか?」 「そう。ところで貴方、私がゆっくりれみりゃを飼っていることを知っていたわね?」 「はぁ、それがなにか?」 美鈴の返答に、咲夜はびきりと何かが鳴った気がした。 「この子は私が飼っていたゆっくりれみりゃだって言ってるのよ」 「はぁ、そうだったんですか。それはまたご愁傷様です」 その返答にまた何かが鳴った。 「わかっていないようね、どうして貴方は私のペットを勝手に処分したのかを聞いているの!」 「はぁ、私は門番ですから。紅魔館の領土を不必要に侵すものは排除しますよ」 「それが私のペットだって貴方なら分かるでしょう?」 いらいらしながら咲夜は問いかけた。しかし美鈴はそんないらつきなど何処吹く風、いつものように飄々としている。 「関係ありません」 「なん……ですって……」 「『侵入しようとした』、『攻撃の意思を見せた』。この二つで十分排除する理由になります」 どうやら咲夜の留守中に館を抜け出し、帰って来たところを美鈴に咎められて反抗したというところだろう。 咲夜はその経緯を察して、かつ反論の余地が無いことを悟った。 「……」 「それに肉まんにスペルカードルールは適用されません。そのペットが人間だったら死なないで済んでいたでしょう」 「……そうね」 「ペットは首輪をつけておくものですよ」 咲夜は暗に、所有物には名前を書いておけ、と言われた気がした。 たしかに、そのゆっくりれみりゃが咲夜の飼っているものだと確定する判断材料がないのだから、美鈴ならば見分けられるはずというのは単に甘えだ。 個体識別が出来たか否かは問題にならない、美鈴は職務を全うしただけだ。文句をつけられるいわれは無い。 言ってしまえば低級な妖怪や毛玉が侵入を企てるのと同程度のものだ。 ここで美鈴を叱責するのは簡単だが、それは私憤によるもの。 咲夜はそれを分かっている。伊達や酔狂で「完全で瀟洒なメイド」などと名乗ってはいないのだ。 次の日、いつのまに調達したのか、新しいゆっくりれみりゃには首輪がつけられていた。 しかし咲夜が目を離すと、そのゆっくりれみりゃは妖精メイドたちに虐められた。 今までも妖精メイドたちにゆっくりれみりゃが虐められることはあったが、首輪をつけてからのそれは熾烈を極めた。 以前は野良と見分けがつかないから、ただ単に紅魔館から追い出そうという意味で攻撃を加えていたのだろうが、首輪がついてからは明らかな悪意が存在していた。 首輪がついたことによって、咲夜の所有物だということがはっきりし、それの言うことを極力聞かなければならなくなったことが原因だろう。 基本的に妖精メイドは自分達のことで手一杯だ。館の管理は全てメイド長たる咲夜が一任している。 それでも数多くの妖精メイドが滞在しているのは、質より量という信念があるからだ。 しかし、そんな烏合の衆と言える妖精メイドたちにも、紅魔館を住み処としている矜持があった。 主たるレミリアに達成困難なわがままな命令を受けても成し遂げようという意思が生まれるが、相手が似ても似つかぬ不細工な肉まんでは苛立ちしか生まない。 始末の悪いことに、ゆっくりれみりゃは「さくやにいいつけてやるぅ」と虎の威を借る狐を気どる。 これで苛立たないのは、当のメイド長か、広大無辺な心の持ち主だけだろう。 紅魔館でも、いや、幻想郷でももっとも心が広い妖怪かもしれない紅美鈴でさえ、体よく葬ったのだから。 それゆえに、咲夜の目の届かないところでゆっくりれみりゃは妖精メイドたちに袋叩きにあったり、弾幕をひっかけられたりしていた。 咲夜も数多くいる妖精メイドの全てを罰するわけにはいかないので、ゆっくりれみりゃに自室からの外出を禁じるが、もとより話が通じるのであればそんなことにはなっていない。 三日もしないうちに、そのゆっくりれみりゃは首輪だけでなく、鋼鉄の檻に入れられることになってしまった。 咲夜は最初、犬のように杭を打ち込んで、鎖を首輪に繋げようと考えたのだが、部屋を壊す必要はないと考え直し、美鈴に檻を作らせたのだった。 「美鈴、なかなかいい腕してるわね」 「う゛ー!だじで!だじで~!」 がしゃがしゃと鉄格子を握り締めて揺らすが、当然のことながらびくともしない。それは何処に出しても恥ずかしくない出来だった。 「さて、これで虐められることも無いし、仕事に専念できるわね」 「う゛あ゛ーっがじがじ。まじゅいー!ぽいしてっ!いらないの!ぽいするの~~!!」 鉄格子にかじりついて、いかにも不味そうな顔をするゆっくりれみりゃを見て、微笑む咲夜。 どこから出したのかぺろぺろキャンディーがその手に握られていた。 咲夜の手の中のものを見て、喜びに輝くゆっくりれみりゃ。すでに気を取られていて檻のことなど少しも頭に無い。 「うー!それれみりゃの!ちょーだい!れみりゃのきゃんでーちょーだい!」 「それを食べておとなしくなさい」 咲夜は言われるままにそれをゆっくりれみりゃに渡す。 「うー、ぺろぺろ。おいちい♪うーうーうあうあ♪」 上機嫌になったそれを見届けて、咲夜は部屋を出た。妖精メイドは勝手に咲夜の部屋には入らないし、自分から外にでることもできない。 これでペット事情は安泰だろう。 昼。 紅魔館の主は夢の中、図書館の主は読書に耽り、門番は門前にて鍛錬の真っ最中。 メイド長はというと、仕事がありすぎて食事を取る暇もないくらいだった。いや厳密には時間をとめて食事はできるのだが、ペットに餌をやれない状況なのだ。 そこで、咲夜は丁度良いところに通りかかった妖精メイドに餌やりを頼むことにした。 よもやメイド長の部屋でまでペット虐めはしないだろうという判断だった。 「おながずいだー!!ごはんぅ~~!うー!うー!ざぐや゛~~っ!!」 咲夜から配膳をまかされた妖精メイドは、咲夜の部屋に入るなりそんな声を聞いた。 見れば檻の中でゆっくりれみりゃが、まるで駄々をこねる幼児のように、地面に寝っ転がりながら暴れていた。 すると、食事の匂いを嗅ぎつけたのか、ぴたりと泣き止み起き上がり、妖精メイドに向かって威嚇するように手を広げ 「ぎゃぉー!たべちゃうぞ~~!!」 と、こうだ。 妖精メイドは軽く嘆息すると、お盆を床に置いて蓋を取る。 皿には小さなハンバーグやパンが少しずつ、あとはデザートというゆっくりには上等すぎるのではないか?と思えるほどの食事が用意されていた。 特にデザートのババロアなどは、妖精メイドが思わず生唾を飲み込むほど美味しそうな匂いを発していた。 甘いもの好きなゆっくりれみりゃが、それを嗅いで黙っていられるはずも無く、妖精メイドに催促する。 「ぅぁ~♪たべさせて!ぷっでぃんぐはやくたべさせて~~!!」 「…………」 「う~?ぷでいぃんんん♪はやくれみりゃのぷでぃんたべさせてーーー!!」 「こんな美味しそうなババロアをこんなナマモノに食べさせるなんて、食べ物への冒涜だわ!」 妖精メイドはそう言うと、スプーンでババロアをすくって自分の口に入れた。 「うあーーー!れみりゃのぷっでぃん、たべちゃだめ~~!!」 「~~~ッッ!っはぁ!!……っおいっしぃ~~~♪」 まさに至福!というような蕩ける表情で妖精メイドは言った。 「あんたいっつもこんなん食べてんの!?」 血相を変えた妖精メイドがゆっくりれみりゃに詰め寄る。その手にはババロアの皿が乗っている。 「うーうー!れみりゃのぷっでぃん!!ぷっでぃぃいぃいいぃぃんんぅぅうぐ!!!!」 泣きながら、鉄格子の間から腕を伸ばしてお皿を取ろうとしているゆっくりれみりゃ。妖精メイドの話をまるで聞いていない。 「ちょっと!人の話を聞きなさいよ!!」 「ぷっでぃいいぃいい~~~~ん!それれみりゃのぷっでぃいいぃいぃいいんなの!!」 「うっさいわね!」 「ぶめぎゃっ!?」 妖精メイドの平手打ち。鉄格子があるので、水平にではなく垂直に。 まるでアッパーカットのようなすくい上げるような平手打ち。 どてーんと転ぶゆっくりれみりゃを無視して、餌の皿へ向き直る妖精メイド。 「もしかして他のもこんなに美味しいのかしら!?」 その行動は好奇心と言う名の食欲に支配されていた。 起き上がったゆっくりれみりゃはへの字口をして涙を溜めた目で、自分のご飯を次々と食べていく妖精メイドを見た。 「うわー!れみりゃのごはーーん!れみりゃのごーーーはーーーんーーー!!うーうーーーー!!!」 がしゃがしゃと鉄格子を揺らすが重い檻はびくともしない。 「うーうー!……っばーか!ばーか!!しゃくやにいいつけてやるぅ!!しぃからぁれちゃぁうぞぉ~♪」 それを無視して、餌とは言いがたい食事を食べていく妖精メイド。無視はしているが、ゆっくりれみりゃに見えるように食べていた。 フォークの先にはソースが滴ったハンバーグが美味しそうな匂いと湯気を立てている。 それをゆっくりとゆっくりれみりゃに近づけていく。 「うあ~~~ん♪」 鉄格子がめり込むほどに顔を押し付けて、大口を開けて少しでも早くご飯に近づこうとするゆっくりれみりゃ。 「ぱくり♪」 「あ゛っーーー!」 だがあと一歩というところで、妖精メイドは手を戻し、自分の口に肉片を入れた。 「あ゛ーー!!あ゛ーーー!!!はんばーぐ~~~!はんばぁぐぅううぅううぅ!!うあーうあ~~!!!」 「はっ、ば~~~か」 鼻で嘲笑う妖精メイド。 「! がぁおーーー!たーべちゃうぞーー!!ぎゃぁお~っ!た~べちゃ~~うぞ~~~!!! 」 「うっさい、おまえ」 妖精メイドは瞬時に弾丸を発射した。右膝を撃ち抜かれ、肉片をばら撒きながら転倒するゆっくりれみりゃ。 「うぎゃーーーっ!れ、れみりゃのおーごんのあしがッ~~~!!!うあうあーーっ!!」 足を押さえながらごろごろとのた打ち回るゆっくりれみりゃ。 「いだいよーーー!ざぐやーーー!!じゅあぐゆあぁぁああ!!わるいひどがいじめるぅ~~~っっ!!!」 妖精メイドはそんなゆっくりれみりゃの頭を踏ん付けてぐりぐりと踏みにじる。 「びゅぉっ!ぶぉえぇ~~~っ!!っぐうぐぅ!」 「かわいそうだから、ご飯を食べさせてあげます。いい子だからお口をあ~んして下さいね?」 足を顔からのけると、べそをかきながらも立ち上がるゆっくりれみりゃ。足はぐりぐりされている間に修復していた。すげえ! 「れみ☆りゃ★う~☆」 ご飯を食べさせてもらえることがそんなに嬉しいのか、ゆっくりれみりゃは三拍子で揺れていた。 「はい、あ~~~ん」 「あ~~~~っもがぁっ!?」 満面の笑みで口を開くと、そこには団子のようなものが突っ込まれた。 それは妖精メイドが食い散らかした、ゆっくりれみりゃの餌の残りを全て丸めたものだった。 肉とパンとババロアの混じった味。 到底言い表せない味が、ゆっくりれみりゃの口内を思うさま蹂躙する。 しかもその団子はゆっくりれみりゃの口よりも大きく、自力で吐き出すことができない。 息が詰まるゆっくりれみりゃ。 「ふー!ふーー!っふぐ!ひゅーー!ひゅこ~~~~~!!」 「早く飲み込んでください」 これはいけないと見た妖精メイドが、頭を押さえつけて口に手を突っ込んで、むりやり団子になったそれを押し込む。 「うぎゅうぎゅ!んぎゅん~~~っ!!っぷはぁ~~~~~~!」 「はい、よくできました。これでお食事は終了ですよ」 妖精メイドは、にっこりと微笑むとお盆を持って部屋から出て行った。 「おっげぇえぇえぇぇ~~~っ!!ざぐや゛!ざぐや゛どこぉ?ざぐや゛ーー!!はやぐぎでぇ!ざぐや゛~~~!!!」 後には激しく咳き込み、咲夜の名前を泣き叫ぶゆっくりれみりゃだけが残された。 夜。 天空は漆黒に染め上がり、輝く星々が今にも落ちてきそうだ。 ゆっくりれみりゃは照明のない暗い部屋の中、ただ一匹で冷たい檻の中から月を見上げていた。 昼にご飯を無理やり押し込められてからずうっと泣き叫んでいたが、だれも来なかった。 そう、誰も。唯一自分の味方であるはずの咲夜でさえもやってこなかったのだ。 それがゆっくりれみりゃの心を冷たくする。 夕方に一度、咲夜が戻ってきたのだが、またすぐに出て行ってしまった。 実を言えば、その時に時間を止めて睡眠を取っていたのだが、悲しいかな、ゆっくりれみりゃは『止まった時の世界』に入門できない。 「うー、しゃくやぁ~」 今頃咲夜はレミリアに付き従って何かをしているだろう。散歩をしているかもしれない。何らかの異変を解決に出ているかもしれない。 しかしそれはゆっくりれみりゃにはまったく関係のない話なのだ。 しんと静まる部屋。 窓を叩く風の音。ほうほうと聞こえてくる梟の声。木々のざわめき。時折廊下から聞こえてくるこつこつとした足音。 その全てがゆっくりれみりゃを刺激する。 檻に入れられる前であれば、館内を好き勝手に歩きまわっていた。 それが今では閉じ込められて自由に外を散歩も出来ない。 「う~」 ご飯もそうだ。以前ならば歩き回っているときに、そこら辺にいる妖精メイドに命令すれば何かしら持ってきた。 もちろんその代価として虐めにあっていたのだが、ゆっくりれみりゃは覚えていない。 肉体が勝手に修復するから、ちょっとやそっとの痛みの記憶では霞のように消え去ってしまう。 「うー!だじでっ!だじでっ!!ざぐやぁあぁぁ~!ぶわぁぁぁ~~~っ!!」 火がついたように泣き出し、鉄格子をがしゃがしゃと揺らすゆっくりれみりゃ。しかし癇癪を起こしても誰も何もしてくれない。 「きゃーう!おそとー!おそといぎだいぃ~~~っ!!むきぃ~!」 全力で鉄格子を壊しにかかるゆっくりれみりゃ。激しく前後に揺すられた身体は、今までにない執念を感じさせる。 しかし、美鈴が先代のペットを葬り去った罰として作らされた鋼鉄の檻は、その程度でどうにかなるほど柔ではなかった。 鉄格子の間隔も絶妙で、腕や足は通るが頭と胴体は絶対に通れない程度に開いていた。 無理に鉄格子から抜け出そうとしても、確実に挟まってにっちもさっちもいかない状況になるのがオチだろう。 こん。 音がした。 気のせいかと思った。 再び身体を揺らすも、また音がしては気にならないわけがない。ゆっくりれみりゃは部屋中を見回す。 だが、部屋に変化はない。今までと何処も変わらない。 「うっう~~~。じゃぐやぁあぁ~~~」 何かおっかないものがいるかもしれないと思ったのか、とたんに怯え、震えながら涙を流して助けを呼ぶゆっくりれみりゃ。 モチーフになったであろう夜の王を自称する吸血鬼が、その夜闇を恐れる様子を見たら一体どんな反応を示すだろうか。 情けないと言い放ち捨て置くか、目障りだと打ち殺すか。 それを見るのも一興だが、今は関係ない。 こん。 また、音がした。 びくりと跳ねるゆっくりれみりゃ。 「うー……こわぃこわぃ~。ざぎゅやぁ~~ひっくひっく。うぅ~」 ゆっくりれみりゃは部屋中を嘗めるように見回す。どこかさっきまでと違うところはないか、細心の注意を払って見ていく。 あった。窓だ。 窓に何か丸い影が張り付いていた。 月は雲に隠れているのか、それが何かまではよく分からない。 それが体当たりをして音が鳴っていたのだろう。 こん。 やはり体当たりだ。ゆっくりれみりゃは枯れ尾花だと理解した怖がりのように、すぐにいつもの調子を取り戻した。 「ぎゃぁお~!たべちゃうぞ~~♪」 だが、窓の向こうのものには届かない。届いたとしても恐れさせることは出来なかっただろう。 雲が流れるにつれ、月の冷たい金色の光が注がれていく。 それはゆっくりれみりゃだった。 ただし、胴体のない、ゆっくりれみりゃだった。 そのゆっくりれみりゃは、同族の気配を感じて飛んできた。 しかし、月明かりに照らされた同族は、重たい体が生えて空を満足に飛ぶことも出来ない、『尻尾もち』だった。 人間たちは、手足と胴で構成されているから胴体という呼称を用いるが、ゆっくりれみりゃ同士では、それは『尻尾もち』と呼ばれて嫌われている。 飛ぶことを忘れ、地べたを這いずることを選んだという認識なのだ。 この尻尾もちがそうでないゆっくりれみりゃに遭遇すると、一方的に攻撃され、喰われることも無く虐殺されてしまう。 檻に囚われていることを認識したゆっくりれみりゃは、つまらないものを見るような目になり、そのまま飛び去っていってしまった。 自分達が忌み嫌う尻尾もちが、それよりも劣る存在に堕したということを野性の勘で察したのだろう。 しかし、檻の中のゆっくりれみりゃにはそんなことはわからない。 ここ数時間で久しぶりに出会った遊び相手が飛び去ってしまったのだ。自由に空を飛んで。 そんなものを見せられたら、 「わ゛ーーー!まっでぇ!もどっでぎでぇ~~~っ!!れみりゃもづれでっでぇええぇぇぇ~~おぞどいぎだいぃいいぃい」 とこうなる。 だがすでに窓には何もいない。 再び静まり返る部屋にゆっくりれみりゃのすすり泣く声だけが響いていた。 続く。 起承転結の承まで。 後編は近日公開予定!? 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
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昨今の幻想郷では、ゆっくりが餡子の材料、ペット、ストレス解消など様々な利用方法をされている。 そして大工の場でもゆっくりが使われていた。 家を建てる際に草木を撤去し、凸凹とした土地を平らに均す必要がある。 その時にゆっくりを使うわけだ。 まず平らにしたい土地を柵で囲っい、れみりゃ除けに網をかけてその中にゆっくりを何匹か放り込む。 逃げられないようにするためと、無必要な部分まで整地されないようにするためである。 ちなみに中にいれるのはゆっくり霊夢、それも母ゆっくりだけだ。 まりさ種を入れると何かと理由をつけてさぼったり、それが原因でゆっくり同士喧嘩しだすのでNG。 ありす種を入れると他種のゆっくりが犯されて殺されるのでNG。 ちぇん種は仕事に対して集中できないうえ目を離すと遊びだすのでNG。 みょん種などは話が通じるか分かり辛いのでNG。 そんなわけで割と素直で真面目なれいむ種が使用されるわけである。 今日もまた新たなれいむ家族が箱に詰められて現場へと連れてこられた。 箱の中からはゆっくり家族達の声が聞こえる。 「ゆっくり出してね!」 「おかーしゃん、ゆっくりできないよ!」「くらいよ!」「せまいよ!」「こわいよー!」 「うるさいなぁ。ほら着いたぞ」 大工の一人が箱を開けて中を確認する。 母ゆっくり一匹。子ゆっくり二匹に赤ちゃんゆっくり二匹。 その中から母ゆっくりだけを取り出して柵の中へと置いた。 「ゆ! ひろいよ!」 柵の中は今まで閉じ込められていた箱に比べればずっと広い。 母ゆっくりは清々しい表情をする。 「わたちたちもゆっくりだちてね!」「だしてだして!!」 子供たちの声を聞いて子供たちを思い出したのか、母ゆっくりは大工へ向かって抗議する。 「れいむのこどもたちもゆっくり出してあげてね!!」 「だめだ。お前が仕事を終わるまでこいつらは預かっておく」 「ゆ"!? なんでそんなこというの!? ゆっくりだしてね!!」 「聞けよ。仕事が終わったら放してやるって言ってんだろ」 「おじさん、なにいってるの? なかなの?? はやくこどもをだしてね!!!」 「あー、めんどうな奴らだな」 こんなやり取りを今までに何度もしてきたので大工はうんざりだという顔をする。 「仕事の説明はあそこにいる他のやつらに聞け。仕事が全部終わったら子供に会わせてやる」 同じ柵の中、向こう側で寝ているゆっくりの群れを指で示してそれだけ言うと大工は背を向けて去って行った。 「ゆっくりまってね!! こどもたちをかえしてね!!」 しかし大工は聞かず、そのまま自分の小屋へと帰った。 今晩の食事はちょうど手に入った4つの饅頭だ。 そうして残された母ゆっくりはしばらくの間、すでにいない大工や子供たちに話しかけたり、 柵に向かって体当たりしていたがどれも適わなかった。 その音に目を覚ました他の母ゆっくり達四匹が集まってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「ゆ? ゆっくりしていってね!」 他の母ゆっくり達の挨拶に母ゆっくりも挨拶を返す。 「れいむもこどもたちをもってかれたの?」 「ゆ! そうだよ! ゆっくりしないでたすけなきゃ!!」 母ゆっくりは再び柵に向かって体当たりしようとする。 「ゆっくりもんだいないよ!」 「しごとがんばればかえしてもらえるよ!!」 と、他の母ゆっくり達は言う。 「それが本当かどうかわからないよ!!」 「だいじょうぶだよ! さいしょにいたゆっくりはこどもたちかえしてもらってたよ!!」 「ゅ! しあわせそうにおそとへいってたよ!!」 それは他のゆっくりに、がんばれば子供を返してもらえると示すための大工によるヤラセのようなものだ。 ちなみにその子供を返してもらったゆっくりは他の現場へと連れていかれたが、残るゆっくり達は知る由もない。 ただ、仕事を頑張れば子供と一緒にゆっくり出来ると信じていた。 「じゃあだいじょうぶだね! しごとってなにをするの!?」 他の母ゆっくり達の言葉に安心した母ゆっくりはようやく仕事する気になったようだ。 「ゆっくりせつめいするね!!」 「しごとはここのじめんをぺったんこにするだけだよ!! たべものはここにあるくさだよ!!」 「でもくさをいっぱいたべないでね! これいがいはないからね!!」 「ゆっくりわかったよ! みんなでゆっくりがんばろうね!!」 さすがは母ゆっくり、今の説明で理解できたようだ。 母ゆっくりの群れなので食事の量の管理も問題ないだろう。 それから母ゆっくり5匹のお仕事が始まった。 昼間は小石を柵の隅へと退かしたり、口や大きな体を使って地面を平らにしていく。 また、食事と整地も兼ねて草を食べていく。 疲れたらそれぞれ自由に休んでいた。 暗くなるとゆっくりタイムだ。 といってもこの辺りは明かりになる物もないのでみんなで擦り寄って眠るだけだが。 子供たちのことが心配ではあったが、仕事が終わればまた家族でゆっくり出来る。 それに共にがんばった他のゆっくり達の家族とも一緒に遊ぼう。 最初ここに連れてこられた時は不安でしょうがなかったが、甘い未来を想像するとゆっくり出来た。 それから一週間経ったころ、大工は様子を見にきた。 最初は凸凹で草木もたくさん生えていたこの土地はしっかり整地されていた。 草一本生えず平らになっていた。 「いい感じだな。よくやったなお前たち」 「ゆっくりがんばったよ!!」 「ゆうしゅうでごめんねー」 「ゆー♪ゆー♪」 自分たちのがんばった仕事を褒められてゆっくり達は嬉しそうだ。 仕事の最後の方は食べるものも少なくなって辛かったが、労いの言葉にゆっくり達の言葉は満たされた。 「がんばったのだからご褒美をあげないとな」 「ゆ! おぼえてるよ!! はやくこどもにあわせてね!!」 「あとおなかへったからごはんもってきてね!!」 「こどもたちはゆっくりしてる? ゆっくりあいたいよ!!」 「ごほうびごほうび!! こどもとたべものちょーだいね!!!」 「こどもたちといっぱいたべたいよ!!」 ご褒美と聞くと5匹の母ゆっくり達は口を揃えて望みを言う。 「じゃあ、そこまで連れていくからこの箱に入れ」 大工はそう言うと、持ってきた5つの木箱をゆっくり達のいる地面へ置く。 「はこ? はこはいやだよ!」 「せまいからゆっくりできないよ!!」 「お前たち疲れてるじゃないか。だから箱に入れて運んでやるんだよ」 「じゃあもっと広いはこにしてよね!!」 「まっててあげるからゆっくりよういしてね!!!」 「嫌だよ阿呆饅頭。とにかく箱に入らないなら食事無しで子供にも会わせないからな」 図々しいゆっくり達もさすがに食事と子供を盾にされると贅沢言わなくなり、自分から箱へと収まった。 「ゆっくりはこんでいってね!!!」 リヤカーにゆっくりの入った木箱を5つ積むと、大工はリヤカーを引いていく。 何も見えずにただ揺らされるゆっくり達は不平不満を垂らす。 「ゆっくりできないよ! いつつくの!?」 「おそとがみたいよ!」 「ゆれがはげしいよ! ゆっくりはこんでね!!」 しかし大工にとってそれは雑音にすぎない。 無視してリヤカーを引いていく。 そして数時間後、ゆっくり達入った木箱の蓋が外されて地面へと降ろされる。 「ゆっくりできるよ!」 「ひろいよ! くさがいっぱいあるよ!!」 「ゆ? こどもたちは? どこにいるの!?」 「ゆっくりしないで会わせてね!!」 「今度はここで仕事だ。前と同じだからがんばれよ」 「ゆ”! どういうこと!! やくそくがちがうよ!!」 「ゆっくり達のしごとはもうおわったんだよ!!」 「仕事はあそこだけなんて言ってないだろう?」 「い、いやだよ!! もうしごとしないよ!!」 「そうだよ!! はやくしょくじとこどもをもってきてね!!」 「そしたらしごとすることかんがえてもいいよ!!」 「食事ならそこにいっぱい生えてるじゃないか」 大工の指差した先には確かに草木が茂っていた。前の土地よりも多いかも知れない。 「あまいのがいいよ!」 「おかしもってきてね!」 「あとこどももね!!」 「こどもは仕事が全部終わったらって約束だろ? じゃあ後はがんばれよ」 ゆっくりとの無駄な問答に付き合ってられないと大工は去って行った。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! まっでえぇぇぇぇぇ!!!」 「せめて! ひとめだけでもみせてね!!」 「ゆっくりまたないとおしごとしないからね!!!」 最後のゆっくりの言葉に反応して大工は振り返る。 「一か月後に仕事ができなかったら子供は食べるからな? しっかり仕事しとけよ?」 今度こそ大工は去っていった。 後に残されたのは柵に囲まれた広大な土地と5匹のゆっくり達だけだった。 今度の仕事場は大豪邸でも建てるのか前に比べてずっと広い。 5匹のゆっくり達は誰も何も言わず呆然と佇んでいた。 一ヶ月後に見事に仕事をやり遂げた5匹のゆっくり達はご褒美をもらえた。 苦しむことの無いよう鉈で一刀両断。これがご褒美だ。 きっと子供たちに会えるはずだ。仕事を始めた日には死んでいた子供に。 きっとあの世でね。 終 by ゆっくりしたい人 主にゆっくりれいむ家族を虐めたいだけ。虐待というか人質とって強制労働というべきか。 ある種グッドエンドっぽいけどあの世で子供に会えるか決めるのはえーき様。 このSSに感想を付ける